てん茂Temmo
天ぷら
創業明治十八年、胡麻油で揚げた江戸の味
東京都中央区日本橋本町4-1-3
03-3241-7035
12:00〜14:00、17:00〜20:00(土は〜19:00)
日曜日・祝日・8月の土曜日
オフィシャルサイト
名店会ファイル
2021年3月号掲載 FILE No.273
老舗が並ぶ日本橋界隈も再開発が進み、今や林立するオフィスビルの一角に懐かしい名店の看板を見つける時代となった。
136年前の明治18年に初代の奥田茂三郎さんが屋台から創業し、明治40年、この地に店を構えた『てん茂』。ビルの谷間にひっそりと佇む風情のある日本家屋は存在感があり、一歩足を踏み入れればタイムスリップしたかのような歴史を感じさせる。
現在4代目となる奥田秀助さんが店を受け継ぎ、香ばしい胡麻油で揚げる江戸前の味を守っている。
「初代より『岩井』の胡麻油のみを使用しております。胡麻を炒ってから搾った油は酸化しにくく、風味がよく、油の切れもよろしいです」と奥田さん。
春は鮎、白魚、鱚、蕗薹、5月の連休明けには外房産の黒鮑が入荷する。東京独活、寺島なす、 品川蕪など、なかなか味わえない採れたての東京野菜もいただける。夏場は鹿児島から届く緑竹、秋には栗の渋皮揚げを目当てに訪れる常連客も多い。
メニューはBコース(昼のみ・ 8品)5500円より。昼・夜共にAコース(12品)1万2100円、特コース(15品)1万5400円。全て税込。いずれもご飯、味噌汁、新香がつく。カウンター席8席、個室(椅子席)2~6名。
てん茂
ご主人 奥田秀助さん
竹皮包み天丼
おすすめ
初代と2代目のご主人が明治、大正の頃に、近隣の店の大番頭さんからの要望で考案した竹皮に包んだ持ち帰り天丼を復刻・調整したもの。当時、小僧さんに買いに行かせて、ご主人の目を盗み夜食にしていたという逸話がある。
「竹皮包み天丼」は同店の登録商標。大きな穴子の天ぷらと、天つゆがよく浸み込んだご飯との相性がよく、小ぶりながらお手土産にも喜ばれる。前日までに要予約。
●1728円(税込・限定数)
2016年4月号掲載 FILE No.214
日本橋本町、立ち並ぶビルの間にひっそりと店を構える「てん茂」は、初代奥田茂三郎氏が屋台から始めて百三十一年の時を刻む。一九四七年に建築された風情ある佇まいの店内には、飴色に輝くカウンターに九席、奥に八席の小上りがある。
創業以来、江戸前天麩羅の伝統を守り、煎って芳ばしくした白胡麻を使った胡麻油で揚げる。「風味がよいだけでなく、熱に強く酸化しにくいので、初代よりずっと使い続けています」と、四代目の奥田秀助さん。三代目でお父様の宣男さんが、ある方からのプレゼントがきっかけで愛用するようになったという蝶ネクタイをキリリと締め、親子そろって揚げ場に立つ白衣姿からも律儀な仕事ぶりがうかがえる。
春は白魚、蕗ふきの薹とうに始まり、夏にかけて琵琶湖の稚鮎、千葉の鮑と季節の天種が並ぶ。夏の鮑、秋の栗渋皮揚げは特に好評で、それを目当てに来店される方もいるという。
キスは一度開いて骨を抜き、もとの形に戻して揚げ、稚鮎は腹の部分に衣をつけて、頭と尾は唐揚げのようにカリッと仕上げる。独う活には仕上げに青のりをかけるのも、この店ならでは。さらに四代目は、伝統の天麩羅を守るだけでなく、独自に食材を探究。塩は青ヶ島の塩を、また、寺島ナスや新香の馬まごめはんじろきゅうり込半白胡瓜など、東京都産のものを積極的に使い、都内で地産池消に取組む「とうきょう特産食材使用店」に登録されている。
コースで提供される「天麩羅御飯」(みそ椀・新香付)は、品数で値段が変わる。夜は「A」九千七百二十円、「特」一万二千九百六十円。昼はこれに「B」六千四百八十円が加わり、三種となる。
てん茂
店主 奥田秀助さん
おすすめ
竹皮包み天丼
日本橋本町は、江戸時代に薬種問屋が軒を並べていた町。明治の終わりから大正にかけてもこのあたりは薬屋の町で、それらの店に住み込みで働く番頭さんが、小腹の空いた際、小僧さんを使いに出して夜食に買いもとめに来ていたのが、竹の皮で包んだ小天丼。戦前には廃れてしまったが、二〇〇三年、江戸開府四百年記念の際、イベント用に復刻させたのがきっかけで、数量限定で提供するようになった。現在は、店では出していない大ぶりな穴子を使っているため、事前に予約を受けて、仕入れる。そのため数に限りがあるので、前日までに必ず予約を。
【価格】千四百四円
※内容は掲載当時のものです。メニュー内容・価格等については、各店舗にお問い合わせください。
老舗が並ぶ日本橋界隈も再開発が進み、今や林立するオフィスビルの一角に懐かしい名店の看板を見つける時代となった。
136年前の明治18年に初代の奥田茂三郎さんが屋台から創業し、明治40年、この地に店を構えた『てん茂』。ビルの谷間にひっそりと佇む風情のある日本家屋は存在感があり、一歩足を踏み入れればタイムスリップしたかのような歴史を感じさせる。
現在4代目となる奥田秀助さんが店を受け継ぎ、香ばしい胡麻油で揚げる江戸前の味を守っている。
「初代より『岩井』の胡麻油のみを使用しております。胡麻を炒ってから搾った油は酸化しにくく、風味がよく、油の切れもよろしいです」と奥田さん。
春は鮎、白魚、鱚、蕗薹、5月の連休明けには外房産の黒鮑が入荷する。東京独活、寺島なす、 品川蕪など、なかなか味わえない採れたての東京野菜もいただける。夏場は鹿児島から届く緑竹、秋には栗の渋皮揚げを目当てに訪れる常連客も多い。
メニューはBコース(昼のみ・ 8品)5500円より。昼・夜共にAコース(12品)1万2100円、特コース(15品)1万5400円。全て税込。いずれもご飯、味噌汁、新香がつく。カウンター席8席、個室(椅子席)2~6名。
てん茂
ご主人 奥田秀助さん
竹皮包み天丼
おすすめ
初代と2代目のご主人が明治、大正の頃に、近隣の店の大番頭さんからの要望で考案した竹皮に包んだ持ち帰り天丼を復刻・調整したもの。当時、小僧さんに買いに行かせて、ご主人の目を盗み夜食にしていたという逸話がある。
「竹皮包み天丼」は同店の登録商標。大きな穴子の天ぷらと、天つゆがよく浸み込んだご飯との相性がよく、小ぶりながらお手土産にも喜ばれる。前日までに要予約。
●1728円(税込・限定数)
2016年4月号掲載 FILE No.214
※内容は掲載当時のものです。メニュー内容・価格等については、各店舗にお問い合わせください。
日本橋本町、立ち並ぶビルの間にひっそりと店を構える「てん茂」は、初代奥田茂三郎氏が屋台から始めて百三十一年の時を刻む。一九四七年に建築された風情ある佇まいの店内には、飴色に輝くカウンターに九席、奥に八席の小上りがある。
創業以来、江戸前天麩羅の伝統を守り、煎って芳ばしくした白胡麻を使った胡麻油で揚げる。「風味がよいだけでなく、熱に強く酸化しにくいので、初代よりずっと使い続けています」と、四代目の奥田秀助さん。三代目でお父様の宣男さんが、ある方からのプレゼントがきっかけで愛用するようになったという蝶ネクタイをキリリと締め、親子そろって揚げ場に立つ白衣姿からも律儀な仕事ぶりがうかがえる。
春は白魚、蕗ふきの薹とうに始まり、夏にかけて琵琶湖の稚鮎、千葉の鮑と季節の天種が並ぶ。夏の鮑、秋の栗渋皮揚げは特に好評で、それを目当てに来店される方もいるという。
キスは一度開いて骨を抜き、もとの形に戻して揚げ、稚鮎は腹の部分に衣をつけて、頭と尾は唐揚げのようにカリッと仕上げる。独う活には仕上げに青のりをかけるのも、この店ならでは。さらに四代目は、伝統の天麩羅を守るだけでなく、独自に食材を探究。塩は青ヶ島の塩を、また、寺島ナスや新香の馬まごめはんじろきゅうり込半白胡瓜など、東京都産のものを積極的に使い、都内で地産池消に取組む「とうきょう特産食材使用店」に登録されている。
コースで提供される「天麩羅御飯」(みそ椀・新香付)は、品数で値段が変わる。夜は「A」九千七百二十円、「特」一万二千九百六十円。昼はこれに「B」六千四百八十円が加わり、三種となる。
てん茂
店主 奥田秀助さん
おすすめ
竹皮包み天丼
日本橋本町は、江戸時代に薬種問屋が軒を並べていた町。明治の終わりから大正にかけてもこのあたりは薬屋の町で、それらの店に住み込みで働く番頭さんが、小腹の空いた際、小僧さんを使いに出して夜食に買いもとめに来ていたのが、竹の皮で包んだ小天丼。戦前には廃れてしまったが、二〇〇三年、江戸開府四百年記念の際、イベント用に復刻させたのがきっかけで、数量限定で提供するようになった。現在は、店では出していない大ぶりな穴子を使っているため、事前に予約を受けて、仕入れる。そのため数に限りがあるので、前日までに必ず予約を。
【価格】千四百四円