特集リスト

新潟の美食どころ(1)

Restaurant UOZEN

自ら調達した自然の恵みを活かす
地に根ざしたモダンフレンチ

 シェフの井上和洋さんが、東京の店を閉めて三条市に移り、妻の真理子さんの両親が営んでいた日本料理店『魚善』をリノベーションし、2013年にフレンチレストラン『UOZEN』を開店。自ら野菜を育て、海で魚を釣り、山で山菜を採り、狩猟免許を取得して野禽を仕留め、地に根ざした料理を創り出す。1月のジビエコース(冬季限定)1万5000円は以下の通り。

「猪の頭を使ったリエット、ゴールデンオニオンと自家製生ハムのマカロン、鴨腿肉と白インゲン豆のカスレのコロッケ」でスタート。次はスペシャリテ「ボタンエビのブイヤベース仕立て」。生のボタンエビに、ジュレ状にしたブイヤベースをかぶせ、アイオリソースを添えて。ボタンエビ特有の甘みと食感、粘質性の身質が、ブイヤベースの旨味と共鳴し、ワインが恋しくなる。

「本州鹿の昆布締めタルタル」。しなやかで、雑味なく、鉄分の美しさがある。

「せいこ蟹、バターナッツ南瓜、蟹のサバイヨンソースとイクラ」。ソースの旨味の後から身や子の味わいが顔を出す。

「天然鴨炭火焼、魚沼産そば粉のガレット、ネギの根っこ」。綺麗な味わいの鴨肉。

「ヤマドリの白湯スープ、つくね、自然薯」の次は、「鮑のシヴェ、赤ワインと蜂蜜でマリネした熊の手と干した香茸の戻し汁」。鮑の肝が優美。熊の手のコラーゲンが溶け、香茸はシャキッと凛々しい歯応え。

「ヤマドリ(胸と腿)の薪火焼、ヤマドリのソース、マタタビとミズのピクルス」。淡さと濃さ、一つの肉の中に二律背反が潜んでいて、人間の舌を翻弄する。

「熊のロティ、銀杏と熊の内臓、団四郎味噌」。厚切り肉の弾むような食感に唸る。

 デザートも秀逸。どの料理も妙なる香りと食感の出合いに震え、心に深く刻まれる。

●Restaurant UOZEN  
新潟県三条市東大崎1-10-69-8
電話=0256(38)4179
営業時間=11時半~15時(13時LO)、17時半~22時(最終入店20時・日祝は22時閉店)
定休日=月曜日・他不定休

鮨 登喜和

新潟の米の柔らかな甘みと
旨味を引き出した魚が出合う

「今日は全部新潟の魚です」と、店主の小林宏輔氏。ゆえに、マグロも穴子も煮蛤もない。地方の鮨はこうでなくちゃ。新潟の米と、寝かせたり、塩をしたり、風干ししたりと、様々な方法で旨味を引き出した魚が出合い、なんとも嬉しい幸せを呼ぶ。

 1月の夜のおまかせ(料理と握り全20種)1万円は、以下の通り。

「蕪のすり流しとズワイガニ」。続いて、「3日寝かせた本アラの握り」。じっとりと脂が乗っている。うまい。

「佐渡島アオリイカ握り」。薄切りにされて、ねっとりと甘い。胡麻のアクセントが効いている。「5日寝かせた黒ムツ握り」は、身が締まり、黒ムツ特有の身のダレがない。

 塩をして軽く脱水した「南蛮エビの握り」は、エビ味噌のペーストがかませてある。

「聖籠産の白子」は、実に綺麗な澄んだ味わい。とろとろになるまでつぶして食べ、後から酢飯を入れてよくよく混ぜる。

「マハタ」。微かに甘く、旨味が濃い。

「太刀魚握り」。本日の一番。風干しし、軽く炙った太刀魚は、しなやかな筋肉があって、噛むと一瞬抵抗を見せながら、もっちりと崩れ、酢飯と合体する。品のいい脂の甘みが流れ、その後から皮下の逞しい甘みがやって来て喉へと消えていった。

 柔らかな青い香りの「銀葉草(ぎんばそう)」に続く「潰したイクラ」は、深い味わい。

「イシモチ」はきめが細かく、しっとりとして腹身がうまい。蒸して、熱々酢飯と合わせた「メガニ」。続いて「サバの海苔巻き」と「胡桃の飴煮入り酢飯海苔巻き」。郷土特有の胡桃の存在が心憎い一品。

「栗と胡桃の飴煮入りいなり寿司」「干瓢巻き」と続き、締めは女将さんの「玉子焼き」。

●鮨 登喜和  
新潟県新発田市中央町3-7-8
電話=0254(22)3358
営業時間=12時~13時半、18時~22時
定休日=月曜日

東京を冠した話題の店

KIKKOMAN LIVE KITCHEN TOKYO

料理ライブと食事を一緒に楽しむ
トップシェフたちの競演

 国内外で活躍する異なるジャンルの料理人がタッグを組み、〝食文化の新たな融合〟をテーマに開発した月替わりのコース料理を、実演やトークを交えた〝料理ライブ〟と一緒に楽しめる新感覚レストラン。

 昨年12月は、『クイーン・アリス』の石鍋裕シェフと『KIHACHI』創業者の熊谷喜八シェフのコラボ。

 まずアミューズは、石鍋シェフによる「ジビエのコンソメ キノコのカプチーノ仕立て」。キノコの鼻孔を揺らす香りと、澄んだ綺麗なコンソメに力が湧く。

 そして、熊谷シェフの「キャビアサンド」。炒り卵の甘みと、キャビアの濃厚な甘みと塩気が共鳴する。

 続いて石鍋シェフの「パパイヤとターキーのカクテル」。ターキーの胸肉の火入れがしっとりとしてエレガント。

 冷前菜は、熊谷シェフの「炙りマグロのサラダ KIHACHI風」。梅干しと昆布だしのソース添え。紫蘇の実しょうゆ漬け、いぶりがっこ、山牛蒡の味噌漬けなど、多様な香りや歯ごたえが楽しい。

 温前菜は、石鍋シェフの「旬のズワイガニのフラン」。カニのソース、生クリームと牛乳に合わせた、甲殻類の旨さが際立つ。

 魚料理は熊谷シェフの「オマール海老と鮑のパイ包み焼き」。生きている海老を鍋に投入して半生で取り出す。ゆかりや大葉、トマト入りバターなど要素は多数だが、パイ生地との相性で味が丸く収まっている。

 肉料理は、石鍋シェフの「牛ヒレ肉の〝オリンピア風〟」。塩麹と甘酒でマリネした肉を調理したもので、振りかけられたキッコーマンのサクサクしょうゆとよく合う。

 最後の食事は、なんと「〝福〟カツカレー」。フォンの確かさが光るカレーとフグのカツが見事に品良く組み合わさっている。
価格は毎月変動。1万5000円~。

●キッコーマンライブキッチントーキョー  
東京都千代田区有楽町2-2-3 ヒューリックスクエア東京B1
電話=050(3134)5158
営業時間=[レストラン(予約制)]18時~(ライブ時間18時半~20時半)[スーベニアショップ・カフェ&バー]12時~21時
不定休

SPICE LAB TOKYO

温冷のスパイスを多用した
健やかなモダンインド料理

 銀座にできた新しいインド料理店である。しかしメニューにはカレーもタンドリーチキンもない。日本の食材を、インドの伝統的なスパイスを多用して生かした料理を出す。使うスパイスは、生ターメリック、フェンネル、クミン、グリーンカルダモンから、メース、サフラン、希少なローズペダルやベティビエルの根のカース、さらには味噌やわさびなど、多種多様。アーユルヴェーダに則って、温と冷のスパイスや食材を組み合わせてバランスを取り、味の均整美を作り出す。その基本精神を熟知しているからこそ、日本のわさびや味噌を使っても、味を丸く収められるのだろう。

 カリカリに加熱したレンズ豆には、炭とココナッツ、トマトとクミン、アボカドとコリアンダーという3色のチャツネが添えられる。レンズ豆の優しい甘みと、3種のチャツネが呼びかけ応え、優美に抱き合う。

 トマト水で作ったラッサムにズワイガニを浮かべ、帆立とコリアンダーを加えたスープは、どこまでもエレガント。

 コースは、 ランチは3種3,300円~、ディナーは2種8,800円~で、1皿目:寺院(成功や幸運を祈願して天上に捧げる食事)、2皿目:街路(インド各地のストリートフード・屋台料理の再構築)、3皿目:海岸(7,500㎞の海岸線を持つインドの海の幸を表現)など、テーマに沿って料理が出される。インドの『AMAN』やコペンハーゲンの『noma』などでも修業経験のあるテジャス・ソヴァニ総料理長による、知的好奇心を刺激する料理をぜひ。

●スパイスラボ トーキョー 
東京都中央区銀座6-4-3 GICROS GINZA GEMS10階
電話=03(6274)6821
営業時間=11時半~14時半(L.O.)、18時~21時(L.O.)
年中無休

今、最も金沢で輝く店

respiracion(レスピラシオン)

若き3人のシェフによる
モダンスパニッシュ

 築140年の町家を改築したスペイン料理店。梅達郎氏、八木恵介氏、北川悠介氏、地元出身の若き3人のシェフが、豊かな金沢の食材の新たな魅力をふりまく。

 ある日は、スペシャリテ「インパクト 甘海老」から始まった。甘海老の殻や尻尾のビスキュイの上に身が置かれ、頭の味噌で作ったシートが被せてある。続く「パノラマ」と題した皿では、海と里の風景を表現。蕪の出汁をガストロバックで浸透させた蕪と、揚げ里芋に柚子のベシャメルソース。コロッケ状にして青海苔をまぶしたメバルと、加賀れんこんのブニュエロ。能登牡蠣とナマコのスペイン風ピッツァのコカ。

「能登牛 脂 旨味」は、加熱した牛薄切りでウニを巻いたものに、アゴ出汁と煎茶を合わせ、旨味の増幅を狙った皿。

 魚料理は「温度焦点 鰆」。みずみずしさが残るように精妙に火入れした鰆と、金沢一本太ねぎを使ったカルソッツ(焼きねぎ)の力強くも優しい甘みが出合う。

 肉料理は、「生命をいただく」と題した皿。能登牛ランプと鹿肉、黒文字に刺した猪の心臓が盛り合わせてある。いずれも火入れが素晴らしく、添えた肉厚の椎茸「のと115」の香り高く旨味の強いこと。

「加賀百万石大名行列」は、香箱蟹のパエリャ。香箱蟹の内子、外子、味噌、身のすべてと、野菜の甘み、動物的な滋味も渾然一体となって米に染み込んでいる。

 デザートは、紋平柿(もんぺいがき)で作ったエスプーマとムースとアイス、オレンジのチュイール添え。さらに、「未来へ」と題し、五郎島金時、俵屋のじろ飴、ヤギのチーズと蜂蜜、アーモンドケーキなどの甘みが登場する。

 昼夜ともに、コースは8000円~1万7000円(税・サ別)。

●respiracion 
石川県金沢市博労町67
電話=076(225)8681
営業時間=12時~15時(昼は一斉スタート)、18時~20時(L.I)
不定休

日本料理 片折

地の優れた食材の味を
卓越した技で活かした日本料理

 割烹が数多くある金沢で、片折卓矢氏の金沢食材への情熱と卓越した技により、今や一番の人気となっている。優れた食材を探しに、遠方まで生産者の元へ足を運ぶ。

 昨年11月の蟹を盛り込んだコースをご紹介。最初は「すっぽんのお粥」。清く、深い味わいに食欲の窓が開く。

「香箱蟹」の甘みに酔い、続いて目の前で鰹節を引き、とった出汁を切子のグラスで飲む。その豊かさと清らかさに唸る。

「アンコウと蕪のお椀」。凛々しい筋肉質の食感と優しい甘みを滲ませるアンコウに、すうっと均一に加熱された蕪が共鳴し合う。最初は淡いが、次第にアンコウの香りが溶け出して、味わいが深くなっていく。

 お造りは「ヒラメ」で、噛むほどに甘みが滲み出る。低温で酒蒸しした「あん肝」は、口に入れた途端溶けるように消える。続いての「迷いカツオの炙り」は、身が滑らかで、じっとりと脂が乗っている。

 肉感的な「鴨ロースの炭火焼き」が出され、いよいよ「焼きズワイガニ」の登場。蟹の体液が沸騰しないように細心の注意を払って焼かれた蟹は、優美この上ない。清らかで、みずみずしく、透明感のある甘みが、ポタリポタリと舌に落ちていく。

 その感動の息を抜くかのように、「ふろふき大根」が出され、再び「茹でガニの蟹ミソかけ」と来て、最後は「里芋煮物」と、実にシブい。野菜料理も秀逸で、焚き物という料理の重要さをわきまえた仕事が光り、しみじみとしたおいしさを感じさせながら、季節への感謝を募らせる。

 締めは、半熟茹で卵、昆布の佃煮、白ご飯、蟹ご飯、バッテラと続き、できたての「葛焼き」となる。この甘味も、去り際がいい。

 カウンター6席のみ。コース2万円~。

●日本料理 片折 
石川県金沢市並木町3-36
電話=076(255)1446
営業時間=12時~14時半(昼は水曜・日曜のみ営業)、17時~19時半・20時~22時半(夜は2部制)
不定休

フランス料理の新店

noura

フランス料理好きの心をくすぐる
丁寧に作られた美しい味

 浅草の名店『オマージュ』の荒井昇シェフが、同店の裏に新しく開いた店。子ども連れの家族からカップル、70代くらいの女性まで、様々な方がそれぞれに食事を楽しんでいて、その幸せな光景に心が和む。

 昼2000円、夜3800円・5800円(税・サ別)のプリフィックスメニューで、アラカルトも各種揃う。料理はいずれも丁寧に作られた美しい味である上に、付け合わせにも軽いひねりが加えられていて、フランス料理好きの心をくすぐる。

 突き出しは、ふっくらと膨らんだパンケーキ。メープルシロップとパンケーキのおなじみの喜びに、トリュフが香り、熱々を噛めばふんわりと歯が包まれて、もうそれだけで幸せがやってくる。

「北海道産生ウニのシャンパンゼリー寄せ 牡蠣のムース添え」は、牡蠣のムースもさることながら、冷たさの中に牡蠣の滋養を詰め込んだ牡蠣のソルベが素晴らしい。牡蠣を開けた時に出るジュースを凍らせて、パコジェットにかけたものだという。

「ダニエルキャスタンのフォアグラ」は、フォアグラの上質な脂の香りを、「テット・ド・ポーのクロメスキ」は、カリリと揚げた衣の中から、コラーゲンの甘みに溢れた豚肉の詰め物が現れ、その食感の対比を楽しむ。「石田めん羊牧場の仔羊と手亡豆(てぼうまめ)のトマト煮込み」は、ほろりと崩れる仔羊の滋味と豆の甘みが、しみじみとうまい。

 元々賄いで作っていたものをメニューに載せたという「魯肉飯」もいい。

 香菜の香りがパイナップルの甘みに寄り沿い、熱帯地の幻影を漂わすエキゾチックな魅力の「ゴールデンパイナップルのコンポート パイナップルとコリアンダーのシャーベット」など、デザートも秀逸。

●noura 
東京都台東区浅草4-10-6
電話=03(6458)1255
営業時間=11時半~14時(L.O.)、18時~21時(L.O.)
※休業日前日は20時(L.O.)
定休日=月曜日・火曜日

Kotaro Hasegawa〈DOWNTOWN CUISINE〉

和の器と箸で食べる
故郷への愛に満ちた料理

 昭和の匂いが漂う新御徒町の佐竹商店街に佇む店。『ラ・フェット ひらまつ』料理長を務めた長谷川幸太郎さんが、「若者よ故郷へ帰れ」という、フェルナン・ポワン氏の言葉に打たれ、今春、生まれ育った街に店を開いた。和の器に盛った料理を箸で食べるスタイルは、地元の人々にも気兼ねなくフランス料理を楽しんでほしいと願う長谷川さんの優しさが現れている。

 コースは5000円、8000円、1万円(税別)。1万円の料理は8皿構成で、夏の終わりのある日は、九谷焼の皿に盛り付けられたマスのマリネのアミューズから。マスの旨味にシャインマスカットの酸味や2種類のオクラの食感が重なり合って、食欲が刺激される一皿。

 2皿目は、蓋付き小鉢に入れられた、ウニ、 ブールブラン、枝豆、ホタテのひもでとったフォンによる茶碗蒸し。やさしい旨味が広がって、気分が穏やかになる。

 続いて、塗りの木板に盛られた鮎の料理。鮎のムースを抱いた鮎を、カダイフをまぶして揚げてある。きゅうり花山椒添え。名残を迎える鮎の繊細な香りを伝える。

 次は、棒を持って齧る〝フレンチドッグ〟。フォアグラとシャンピニオンデュクセル、鶏のムースを合わせたものを衣をつけて揚げ、マデラソースが添えられている。

 朱塗り椀に入れられた、茄子と和歌山産ホウボウのヴァン・ジョーヌソース。キレのいいソースの酸味が魚の甘みを生かす。

 錦手の皿に盛ったニュージーランド仔羊のプレ・サレ。ハーブを乾燥させてパウダーにしたパン粉を塗って焼かれている。

 最後は、ブラン・マンジェ、桃のコンポート、富良野のメロンコンポート煮汁のグラニテのデザート。

●Kotaro Hasegawa 〈DOWNTOWN CUISINE〉 
東京都台東区台東4-2-11
電話=03(5826)8663
営業時間=18時~20時半(L.O.)
定休日=日曜日・祝日・不定休有り

注目の寿司の新店

鮨 在

独創性溢れる鮨を引き立てる
ソムリエによる酒のペアリング

 今年5月開店。寿司職人は六本木『鮨 由う』出身の岡田貴裕さん、ソムリエは神宮前『An Di』出身の保坂卓さん。若い2人ながら、気働きができ、心地よい。

 7月のある日のおまかせは、温かい「帆立の茶碗蒸し」から。続いて、唐津の赤ウニを乗せた毛蟹の握り。下に海苔が敷いてあり海苔ごと巻いて食べる。赤酢を主体とした酢飯がいい。

 白甘鯛のしゃぶしゃぶは、ちり酢、もみじおろし、鴨頭ねぎでいただく。

 皮だけを炙ったメジマグロのお造りと自家製の昆布の佃煮。メジマグロの鉄分に海苔佃煮の旨味が抱き合う。

 続いて、味がなめらかな宮城のあん肝。長万部(おしゃまんべ)のホッキ貝炙り。メヒカリをカツオの酒盗に浸けて風干した干物。つまみの最後は、蓴菜(じゅんさい)の酢の物。握りに向かう前に、酢の物の酸味で一旦味を切る。

 握りはカスゴ。柔らかな締めで、酢飯と合う。アオリイカは、酢橘と塩で。赤身ヅケ、中トロ、大トロ、大阪湾のコハダ、大阪湾のアジ。トキシラズ、ノドグロ手巻きは、血合いの酸味と酢飯の酸味が利いている。そして、ウニ、白えび、穴子で終了。

 おまかせコース2万円、ペアリング付き3万円。カウンター8席、個室カウンター1室(5席)。

●鮨 在 
東京都渋谷区広尾5-3-13 Barbizon86 5階
電話=03(3446)1134
営業時間=17時半~23時
定休日=日曜日・祝日

鮨 和魂

『鮨 ます田』増田励氏監修
上質の魚を使った本格江戸前鮨

 2019年7月、『ザ・ペニンシュラ東京』内に開店。何より、青山『鮨 ます田』譲りの酢飯が素晴らしい。酸味と塩気がきっちりと利いて米の甘みを生かし、仕事をしたネタを生かす酢飯である。若き店主・山口将司さんの応対が爽やかで、居心地がいい。

 7月のある日のつまみは、オコゼのお造りから始まり、蒸しアワビ肝ソース添え、焼いたメヒカリ。焼いたタチウオ染めおろし添え。どの魚も質が高い。

 握りはマコガレイ、スミイカ、アジ、トリ貝、赤身、中トロ、トロ、コハダ、エビ、イワシ、黒ムツ、ウニ、穴子。どれも姿が美しい。特に、ネギ生姜を中にかませたアジと赤身、黒ムツが素晴らしかった。

 おまかせコースは、昼1万8000円、夜2万5000円。カウンター8席、プライベートカウンター6席ほか。

●鮨 和魂 
東京都千代田区有楽町1-8-1 ザ・ペニンシュラ東京4階
電話=03(6270)2990(10時~22時)
営業時間=[昼]12時~14時
[夜(2部制)]1部:17時半~/2部:20時~
定休日=水曜日・祝日

高柿の鮨

レトロな佇まいの店内で
しっぽりと鮨と酒を楽しむ

高柿の鮨

『新ばし しみづ』出身の若き店主・高柿伸英さんが、昨秋、水天宮の裏路地に開店。大正時代の建物の落ち着いた雰囲気の中、しっぽりと鮨と酒をいただくことができる。

 9月のある日のおまかせコースは、なめこおろしに始まり、ツブ貝、タコ、ホッキ貝のヒモ。藁で炙りたてのカツオ、アワビ肝と続く。

 煮切りが引かれた握りは、ヒラメ、新イカ、しみづ譲りの赤身、中トロ、ワサビをかまし、カボスをかけたアジ。香りがあり、煮汁をトモヅメ風に引いた蒸し鮑。イワシ。ヒモを巻き込んで握った赤貝。炙って七味が振られたホッキ貝。車海老。なめらかに溶け、卵のねっとりとした甘みを感じさせる新イクラ。ふんわりと消えていく穴子、かんぴょう巻きで締め。

 おまかせコースは、昼1万円、夜2万円。

●高柿の鮨 
東京都中央区日本橋蛎殻町1-30-2 
電話=03(6231)0923
営業時間=[昼(前日までに要予約)]12時~
[夜(2部制)]1部:18時~/2部:20時半~
定休日=水曜日

最新・東京の中国料理店(2)

サウスラボ南方(みなかた)

広東料理と潮州料理をベースに
東南アジアのテイストが融合

 神宮前の人気店『楽記』に携わった菊地和男氏がメニューを考案し、『福臨門酒家』元料理長のトミーシェフが厨房に立つ。

「田螺頭湯(干しつぶ貝とスペアリブ、白菜の蒸しスープ)」。鼈甲色の液体は、さらりとしていながら、ゆっくりと旨味が頭をもたげ、揺るぎなき養分で満たされる。

 スペシャリテの「鶏子戈渣」は、貴重な鶏の白子をペースト状にし、卵黄、上湯を合わせ、蒸してから揚げた料理。口に入れるとふわりと崩れ、艶を含んだ甘みと上湯の滋味を広げながら消えていく。

 レタスに巻いて食べる「生煎蝦餅(バイマックルと海老の餅)」。「南方香菜沙律(パクチーサラダ)」は、逞しい香菜の根っこが揚げてあり、面白い。

 スペシャリテの「脆皮炸子鶏(クリスピーチキン)」。パリッと揚がった香ばしい鶏の皮としっとりと歯にしなだれる肉に、次々と手が伸びる。腿も胸もササミも味が濃い。

「避風塘斑球(ハタの香港スパイス揚げ)」。ミックススパイスの複雑な香りに酒が進む。そして締めは、土鍋で炊き上げた「咸魚ハンバーグ土鍋ご飯」。ハムユイ独特の深い味と香りが見事に生きている。

 コースは6500円~、アラカルトでも楽しめる。ワインの揃えも素晴らしい。

●サウスラボ南方 
東京都墨田区錦糸3-7-3 オフィスナカジマビル1階
電話=03(6658)5299
営業時間=[火~金]18時~22時(LO)[土]12時~22時(LO)[日]12時~21時(LO)
定休日=月曜日(営業時間・定休日は変更の場合あり) 

4000 Chinese Restaurant

菰田欣也シェフによる
本格派中国料理の新店

『四川飯店』総料理長を長く務められた菰田欣也氏が、料理人人生の集大成ともいえる新店をオープン。フカヒレ、干し鮑、燕の巣といった高級乾貨のほか、鱧や甘鯛、蛤など、良質の食材を使い、経験と技術を生かした本格派中国料理を提供する。

 例えば、発酵白菜と一緒に炊き込んだ伊勢海老の料理は、海老の凛々しい甘みと練れた酸味との出合いに痺れること必至。「アオリイカと卵白の清湯スープ」は、金華ハムパウダーの塩気のアクセントが、イカの淡い甘みを引き立てている。

 その他、甕出し紹興酒を煮詰めた甘酸っぱいソースが、フカヒレのコラーゲンを生かした「フカヒレの姿煮」、逞しく分厚い豚の脂が、回鍋肉という料理の格を高めている「マンガリッツァ豚の回鍋肉」など。

 ランチコース1万円~、ディナーコース1万5000円~。カウンター、個室あり。

●4000 Chinese Restaurant 
東京都港区南青山7-10-10 パークアクシス1階
電話=03(6427)9594
営業時間=12時~、18時半~
定休日=不定休

新富町 湯浅

才能ある若きシェフが生み出す
東京モダンチャイニーズ

 若き才能ある湯浅大輔シェフによる、モダン中国料理店。もやし、エシャロット、赤酢漬け生姜と合わせた、エレガントなフカヒレの冷菜から始まる10皿。

 鉄観音の香ばしさをまとって甘みが生きる「黒ムツの燻製」、大豆を固めに蒸し、豆板醤と合わせて3日間置き、さらに炒めた調味豆と一緒に蒸した「スズキと野菜の蒸し物」、ミックススパイスで和えた甘鯛など、魚の質が極めて高く、それぞれの特質を生かした料理が楽しめる。

 定番の「よだれ鶏」は、ソースの味が複雑ながら綺麗で、しっとりと淡い滋味を滲ませる鶏肉を見事に引き立てている。
締めは、コク深い味わいの 「九条葱湯麺」。

 ランチコース3000円~、ディナーコース1万円~。20時以降はショートコースもあり。アラカルトにも応じる。要予約。

●新富町 湯浅 
東京都中央区新富2-7-4 growth ginza east1階 
電話=03(6222)8677
営業時間=[月・火・木・金]17時半~21時半(LO)[土・日・祝]12時~15時半、17時半~20時半(LO)
定休日=水曜日(土・日・祝のみランチ営業)

最新・東京の中国料理店

中國菜 四川 雲蓉(ユンロン)

高い実力を持つ若き料理人による
四川を中心とした料理

 原宿『龍の子』、麻布十番『中國菜 老四川 飄香(ピャオシャン)』、本場中国で修業した若き料理人、北村和人さんが昨年12月に開店。四川を中心とした料理がいただける。

 ある日の8000円のコースから一部をご紹介。まずは前菜6種から始まった。茄子とピータン、万願寺唐辛子の黒酢ソース「擂椒白茄子皮蛋」、シマエビのレモングラスと香菜、酸辣ソース「酸辣生態蝦」、甘辛い品の良い味付けが光る「涼拌空心菜」など。前菜だけで極めて高い実力が窺える。

 続いては、滋味深く、澄んだ味わいのスッポンと烏骨鶏のスープ「霸王別姫」。

「宮保夏天蠣」は、宮保(ゴンバオ)という四川風のソースで、揚げた岩牡蠣(三陸赤崎産)を絡めたもの。牡蠣のミルキーなエキスと甘酸っぱいソースとが抱き合う悦楽がある。

「乾焼刺?參」。キックの効いた本場四川のチリソースの中で、高価であろう小さく棘が立ったナマコが輝いている。

「?椒蒸東星斑」。身が盛り上がった見事な赤ハタ(長崎県産神経〆)に、納豆のような香りがする黄豆?、泡菜(パオツァイ)(漬物)の酸味、質が高い山椒の抜けがいい痺れをもたらして、辛味が渾然一体となった味わいに酔う。

「回鍋甜燒白」。豚バラを6時間蒸して切ってから、餡饅に入れる餡ともち米を一緒に蒸しあげて煎り焼きしたもの。脂、餡、もち米、3者の甘みが溶け合った優しい味。

 〆は、自家製麺による、羌族豚肉(自家製豚肉燻製)と空芯菜の泡菜の「酸辣湯麺」。新生姜の泡菜の塩分と、少量の中国の醤油、保寧醋(パオニンツゥ) (四川の黒酢)、自家製辣油、新ニンニクで味付けしてあり、止まらないおいしさである。

 最後のデザートは「眉山紅糖冰粉」。ゼリーに似た冰粉(ビンフェン)と、桃の木の樹液などを合わせた、四川風あんみつ。

●中國菜 四川 雲蓉 
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-14-1
電話=0422(27)5988
営業時間=11時半~14時(L.O.)、18時~21時半(L.O.)
定休日=月曜日・火曜日(祝日の場合は翌日定休) 

サエキ飯店

 神宮前『楽記』の料理長だった佐伯悠太郎さんが独立して4月に開いた店。香港の一流店で食べられるような力ある心打たれる料理に、早くも予約至難となっている。

 ある日の8000円のコースをご紹介。

「伊達鶏の紹興酒漬け」。最初の一口から嬉しくなってくる、綺麗な味である。良い塩梅を知っている料理人の味である。

「豚耳煮こごりと鶏レバーのムース」。中国にはない酒のアテ。煮こごりをムースにつけると、無性に酒が恋しくなる。

「3種の揚げ物」。南乳に3日間漬けたズッキーニ、エシャロットとパクチーで煮つけた豚肉、出汁で炊いた大根餅の揚げ物。いずれも香りと甘みの複雑さがあって、これまた酒が進む味である。

「ツブ貝の煮物」。広東米酒とクミン、豆板醤と二番出汁で炊いた料理。様々な香りが渦巻く中、ツブ貝がそっと乳白色の甘みを覗かせる。その兼ね合いがたまらない。

「うずら肉のスープ」。素晴らしい。一口飲んだ瞬間に体の力が抜けていく。うずらの滋味に溢れ、上湯、党参、蓮の実、竜眼肉、クコの実、杏仁に、ココナッツジュース、生姜の味や香りが溶け込んで、雑味なく、豊かな旨味に溢れている。

「ハタの唐揚げ醤油煮」。凛々しいハタの肉が爆ぜ、コラーゲンの甘みが舌を包む。

「冬瓜と春雨の上湯煮」。美しい味である。淡味に仕上げ、品格ある上湯の滋味が冬瓜と春雨をエレガントに輝かせている。

「乳鳩醤油煮」。鳩の鉄分と煮汁の深く丸い旨味が溶け合って、唸るような、鼻息が荒くなるようなうまさである。

 〆は、ご飯の香ばしさとハムユイの香りが混ざり合った「ハムユイ炒飯」と「上湯麺」。

 デザートは「紹興酒キャラメルパルフェ」 と「マンゴーパルフェ」。

●サエキ飯店 
東京都目黒区三田2-10-30 荒井ビル1階 
電話=03(6303)4735
営業時間=18時~24時
定休日=不定休

札幌のラーメンとスープカレー

喜来登

定番の味噌ラーメンでは、『喜来登』をおすすめしたい。ネギをてんこ盛りにし、もやしがたっぷり入った味噌ラーメンは、余計なことをなにもしていない素直さがある。そして食べ進むにしたがって、優しい味から濃い味に変わっていく不思議がある。出過ぎずに、ふんわり心を捉える塩梅もいい。挽き肉も昔ながらの味わいで、それもまた穏やかさに一役買っている。

●喜来登 
北海道札幌市中央区南2条西6-3-2
電話=011(242)6070
営業時間=11時40分~21時半(LO)
定休日=木曜日

高級麺料理 昼膳 無聊庵

独創的麺料理でおすすめは、『高級麺料理 昼膳 無聊庵(ぶりょうあん)』。夜は居酒屋となるが、麺料理は昼だけの営業で、10名限定予約制。

メニューは6種類で、ホゲット(ラムとマトンの間)、蝦夷鹿、キャビア、ウニ、長芋、山わさびなど、ラーメンとは思えないような料理名が並ぶ。

「足寄町石田めん羊牧場さんのホゲット肉のグリル、羊骨と鰹出汁の熱々麺」3000円を頼むと、太田了光(のりみつ)店長が「少々おまちください」と言って、肉を焼きだした。肩ロースをソテーし、特製麺を茹で、羊の骨とアキレス腱、鰹節でとったスープを張り、特別な白アスパラと緑アスパラを載せる。

スープを飲めば、鰹節の香りの向こうから羊の大群がやってきて、味覚を鼓舞する。麺をすすれば、小麦の香りが立ち上り、噛んでいくと、ほのかな甘みが顔を出す。ホゲットに齧り付けば、勇壮なる滋味が舌に滴り落ちる。アスパラも香り高く、緑と白それぞれのミネラルが満ちている。生命力のたくましさに唸り、豊かな味わいに笑う。もはや麺料理ではない、北海道の凛々しき大地である。北海道の厳選した食材に敬意を払って、プロが作り上げた傑作である。

「せたな町ファームブレッスドウィンドさんの放牧黒豚 ローストポークと季節の野菜、トンコツと鰹の合わせ出汁」2000円も、豚肉の美しい味に目を丸くする。

共に、デザート3種とハーブティー付き。

●高級麺料理 昼膳 無聊庵 
北海道札幌市中央区南2条西4 oyoyo valley2階 Magazzino内 
電話=080(9617)5430
営業時間=11時50分~13時45分
定休日=日曜日・月曜日・火曜日(臨時休業あり)

ソウルストア

『ソウルストア』は、今までにないスープカレーが楽しい店である。「のりたまチキン(磯のりと温泉卵と野菜)のカレー」、「紅茶豚となめこのカレー」、「牛肉の塩煮込みと舞茸天ぷらのカレー」、「赤い豆腐のカレー」といったふうに変わっている。

トッピングも、ブーラージャン(粗挽き豚肉をスパイスや香味野菜、ジャンなどで炒めたもの)、寄せ豆腐、海老香り粉、ごぼうバー、よだれ鶏、紅奴(梅風味の豆腐)、紅茶豚、ソーキと、こりゃあ悩む喜びがあるじゃありませんか。

カレースープは、「クラシック」、濃厚で甘みのある「BOSSA」、ココナッツと柑橘が混ざる「PYCHE」、 辛い中華風の「自家製麻辣醤」の4種から選ぶ。

初めてなら「クラシック」に、不動の人気No1だという「チキンと野菜のカレー」の組み合わせもいいが、「超粗挽きラムと青山さんちのよせ豆富のカレー」もおすすめ。ここに香菜、白菜とグレープフルーツのアチャール(漬物)をトッピングするのはどうだろう。

ラム挽き肉を噛み締めれば、ラムの香りと様々なスパイスの香りが勇壮に響き合う。さらに、辛さの中で優しい豆腐の甘みが舌に流れる。その辛さと優しさのせめぎ合いが、たまりません!

店の名は『ソウルストア』と、韓国料理風だが、いやそうじゃない。スープカレーの可能性を探るべく、日夜魂を焦がしていますという、心意気なのかもしれない。

●ソウルストア 
北海道札幌市中央区南3条西7-3-2 F-DRESS7BLD 2階 
電話=011(213)1771
営業時間=11時半~15時(LO)、17時半~20時半(LO)
定休日=不定休

札幌の鮨

鮨菜 和喜智

 北海道出身の田村光明氏が、東京で修業後、2003年に開業。独自の研究を重ねた鮨は美しく、「鮨菜」という店名の通り、鮨の前に出される料理も素晴らしい。

6月初旬の料理は以下の通り。

「カニ茶碗蒸し、口子添え」。茶碗蒸しというよりカニ主体の卵寄せ。カニの穏やかな甘みを、卵黄の甘みがそっと持ち上げる。

「シマアジ皮炙り、背と腹身」の次は、「ウマヅラハギ昆布締め、肝のせ」。この魚の旨味を感じるように切られた厚さが絶妙で、じっとりとした甘みが滲み出る。

「ツブ貝とサクラマス、オクラのせ」。塩もみしたツブ貝は食感よく、コリッでもサクッでもない噛み応えを感じさせつつ、サクラマスの脂、オクラの粘りと一つになる。

「鮑ご飯」。鮑に香りがあり、味が濃密。

「太刀魚の塩焼」。空気を含んだような食感、素朴な甘み。「蓴菜(じゅんさい)、アスパラすり流し」は、白アスパラの香りが素晴らしい。

「ホタテ磯辺巻き」。醤油とホタテの単調な甘みを、紫蘇が引き締める。

ここから握り。「アオリイカ」は、包丁目を入れて、ねっとりと甘い。「フエダイ」。噛んでも噛んでも、旨味が途切れることなく湧き出てくる。うまい!

品がある「中トロ」に続き、「あん肝」。なめらかで見事な血抜き。舌の上で崩れる。

片面を軽く炙った「ホッキ」の次は、「シマエビ」。甘エビともボタンエビとも違う、このエビならではの甘みが舌に流れる。

「ミニウニ丼」の次は、「キンキ」。片面を少し炙ったキンキは、余分な脂は落としながら香りが増して、食感の複雑さがあり、ピタリと赤酢の酢飯と合う。甘みと旨味が相乗して体がのけぞるほどうまい。

最後は、ガリと鯖を巻いた「鯖巻き」。

●鮨菜 和喜智
北海道札幌市中央区南二条西25-1-22
電話=011(640)3768
営業時間=18時~20時、20時~22時 (2交代制)
※日のみ昼営業 12時~14時
定休日=月曜日・月1回不定休

鮨一幸

全国の鮨屋や産地を巡り
研究を重ねて独自の仕事を確立

店主の工藤順也氏は、25歳で真駒内郊外で父が営んでいた鮨屋を継ぎ、休日は全国の鮨屋や産地を巡り研究を重ね、独自の仕事を確立。予約の取れない店へと成長させ、2012年一つ星、2013年に札幌に移転し、2017年に二つ星に輝く。

その独自の仕事の表れの一つが、年間出される「カスゴ」(チダイの子供)の握りだろう。「赤ちゃんゆえに、3時間を過ぎると味が抜けてしまう」との理由で、締めてから3時間後に握りのトップバッターとして登場する。そのカスゴと、仕込んでから1時間半経った酢飯が共鳴し、まるで一つの生き物のような食感を感じさせる。「刺身から握りに移る一貫めなので、刺身を超える衝撃がなくてはいけない」という狙い通り、余分な水分が抜け、品のある甘みだけを厚い身に潜ませたカスゴはねっとりと舌の上で身悶える。その時、散りゆく酢飯の粘りがカスゴの肌合いと合一し、艶を滲ませながら口の中から消えていく。

もう一つは5月の「生のシャコ」の握り。シャコは自己消化が激しく、採られた瞬間から味が落ちていく。そのため港で漁師から受け取ったら、車を飛ばして店まで運ぶ。店で手当てをし、自己消化の速度を緩める。切り口から見えるオレンジ色の卵はとろりと輝いて、我々を誘う。柔らかな身にそっと歯を入れると、色香をたっぷりと含んだ濃密な甘みがポタポタと滴り落ちる。

その他の5月下旬の料理は、以下の内容。

「アマテガレイの刺身」 「鮑」「キンメのしゃぶしゃぶ」「子持ちヤリイカのウニ詰」「口子」。握りは、「サヨリ」「赤身」「中トロ」「余市バフンウニ」「太刀魚」「鬼アジ」「煮ホタテ」「穴子」「玉子」「鉄火巻き」など。

また、7月に出される、さっと茹でた「トリ貝」も素晴らしい。

●鮨一幸
北海道札幌市中央区南二条西5-31-45 スカレッタビル2階
電話=011(200)1144
営業時間=18時~、20時半~(2交代制)
定休日=水曜・祝日・不定休