宮内対談


東京大学教養学部卒業後、通商産業省に入省し、世界銀行エコノミスト、在アメリカ合衆国日本国大使館公使通商産業大臣官房審議官等を務められた川口順子さん。
その後、民間から環境庁長官に任命され、環境大臣、外務大臣、内閣総理大臣補佐官を歴任。
参議院議員を二期務め、政界を引退。
現在は、次の世代に持続可能な海を引き継ぐための国際的な取り組みである「世界海洋委員会」をはじめ、外交・安全保障や環境政策を中心に国際的な有識者会議やシンポジウムで発信を続けられている。

川口 順子(武蔵野大学客員教授・武蔵野大学国際総合研究所フェロー)
日本の存在感を民の立場から世界に発信する

宮内
ようこそお越しくださいました。

川口
お招きいただきまして、ありがとうございます。

宮内
今日は和食ですが、お好きな食べ物は何ですか。

川口
私は食べることが大好きで、嫌いなものがないのですが、一番好きなのは和食です。ですから、今日は楽しみに参りました(笑)。

宮内
それは良かったです(笑)。お酒は飲まれるのですか。

川口
料理に合わせて飲むのが好きで、和食には日本酒の冷やを合わせます。フランス料理やイタリア料理ならワイン、中国料理なら紹興酒。やはり料理を美味しく楽しむには、お酒と一緒にいただくのがいいですね。宮内さんは何がお好きですか。

宮内
私も和食が好きで、日本酒や白ワインを合わせることが多いです。

川口
和食というのは本当に美味しいと思います。そうでないと世界にこれほど広がらないですよね。

私が外務大臣の頃ですから十五年ほど前になりますが、モスクワに行ったら、お寿司屋さんが二百軒あると聞いて驚きました。しかも、お寿司は前菜だというのですよ(笑)。

宮内
あの頃のモスクワはそうでしたね。私も覚えていますが、モスクワのお寿司はものすごく高くて、驚くような値段でした。やはり、ロシアの景気が良かったのでしょうね。今はもう世界中にお寿司屋さんがありますね。

川口
ちょうど一年ほど前にメキシコのティファナに行ったのですが、そこにもお寿司屋さんがたくさんありました。「こんなところにも!」と驚いたのですが、考えてみるとメキシコはマグロが捕れますから、お寿司があっても不思議ではないなと。フュージョン料理というのでしょうか、だんだん和食が洋食に近づき、洋食が和食に近づくような感じに今はなりつつあるのかなと思います。

宮内
そういう傾向はありますね。イタリアに行っても、これは日本料理ではないかと思うような料理が出てくることがあります。

川口
アフリカの東海岸の沖にモーリシャス共和国という島国がありますでしょう。過去にフランス領やイギリス領だったこともあり、さまざまな国の文化や人種が入り交じっていて、インド人も多いのですが、そのインド人がフランス語を話すという面白い国なのです。

そこでレストランに入ったら、「魚の海藻挟み」というメニューがあって、どんな料理かと興味を持って頼んでみたら、その名の通り、お魚が丸々一匹出てきて、お腹にワカメがたっぷり入っているのです。もう一つ、「みそスープ」というのがあったので、これまたアフリカの沖でみそスープとは何だろうと思って頼むと、本当におみそ汁なのです。具は入っていないのですが、パンみたいなものが刺さっていて、まさにフュージョンなのですね。面白いなと(笑)。聞くと、そのお店のシェフが日本人シェフに教わったそうです。

宮内
フランス料理も日本料理の影響を受けていることを感じますね。

川口
料理もそうですし、浮世絵などアートもそうですし、逆に、日本が外国からの影響を受けているものもありますね。

最近は、仮に百歳まで生きるとしても、あとそう長くはないと考えると、元気なうちにできるだけ美味しいものを食べたいと思います(笑)。

宮内
私も全く同じ考えです(笑)。

川口
あとは、美味しいものはもちろんなのですが、私は珍しいものも好きなのです。外国に行くと、日本にはないような食材を使ったり、その地域ならではの独特の調理方法で作られた料理がありますでしょう。変なものは嫌ですが、珍しいものもいろいろと楽しみたいです(笑)。