宮内対談

株式会社メルカリ創業者、山田進太郎さん。
限りある地球資源を有効活用し、「捨てるをなくす」ために中古品の個人間取引がスマホで簡単にできるフリマアプリ『メルカリ』を開発。
二〇一三年に日本でサービスを開始し、アメリカ、イギリスに進出、ダウンロード数世界累計一億を突破した。
今年六月、同社は東証マザーズに新規上場。
少しでも便利な社会を実現するために世界の多くの人に役に立つサービスを提供していきたいと語る。

宮内
ようこそお越しくださいました。

山田
お招きいただきまして、ありがとうございます。

宮内
経歴を拝見すると、早稲田大学のご出身で、大学卒業後すぐに起業されているのですね。やはり学生時代は、いわゆる〝コンピューターオタク〟のような生活だったのですか。

山田
一九九六年に大学に入学したのですが、ちょうどウェブブラウザの『Netscape』や、OSの『Windows95』が出てきた頃で、インターネットに初めて触れて、興味を持つようになったのです。NASAやホワイトハウスのホームページを見て「すごいな!」と(笑)。

そこからホームページをつくることにハマって、大学では「早稲田リンクス」という、学生向けのポータルサイトをつくるサークルに入っていました。卒業後はインターネットに関わる仕事をしたいと思い、四年生の時に「楽天」の新卒内定をもらって、インターンとして『楽天オークション』のサービスの立ち上げにも携わらせていただきました。同時に、自分でもプログラミングを勉強して、映画を観るのが趣味だったこともあり『映画生活』という新作映画情報サイトを開発したのです。その時に、CtoC(個人間取引)ビジネスの面白さや、サービスを一から立ち上げる楽しさを実感して、インターネットで世界の人に使われるサービスをつくりたいと思うようになりました。

宮内
私はACCESS(本社:東京都千代田区)という、モバイルやクラウド、ブラウザなどを開発・提供している会社の社外取締役を務めているのですが、そこの幹部はやはりみんな理系の頭脳をしているのです。彼らと話をすると、私のような文系の人間とは異なる感性を持っているので、面白いですよね(笑)。

山田
そうですね。私の場合は、その映画のサイトをつくりたくて独学でプログラミングを勉強したので、コンピューターサイエンスを学んでいるという感覚ではなかったのです。ただ、起業後、エンジニアと技術面である程度対等に話ができているという点ではプログラミングを学んでおいてよかったと思います。

実は、小説家になりたいと思った時期もあったのです。でも、村上春樹さんの『若い読者のための短編小説案内』という、いろいろな小説の解説をする本があって、それを読んだ時に断念しました。本の中に取り上げられていた小説を私は半分くらい読んでいたのですが、私の解釈と村上さんの解釈が全く違っていて、こういう解釈をできる人でないと小説家にはなれないのだなと、すごい衝撃を受けて諦めたのです(笑)。

宮内
その時に諦めてよかったですね(笑)。

山田
よかったです(笑)。そういうこともあって、芸術方面は無理だし、企業に属するのも向いていないし、何をやろうかなと考えていく中で起業に向かっていったという感じです。

本来、私は全くリーダータイプの人間ではなくて、学級委員もやったことがないのですが、ひょんなことからその「早稲田リンクス」の四十人のメンバーの代表を務めることになったのです。それまでは一人で本を読んだり映画を観たり音楽を聴いたり、ソロプレイが好きだったのですが、その時に初めて、チームで何か一つのことをやるのって面白いな、一人ではできないことも、人が集まってそれぞれが得意分野で力を発揮すればいろいろなことができるのだなということを実感しました。それが会社をつくるということにつながっているのかなとも思います。

それで、大学卒業後の二〇〇一年に「ウノウ」という会社を立ち上げて、二〇〇五年、二十七歳の時に株式会社にしました。しかし、どうすれば世界で使われるのか、ものすごく試行錯誤しながら様々なサービスをつくったのですが、なかなかうまくいかなくて。そういう時期が三、四年ほど続いたのですが、やがて性能の高いモバイル端末が普及してきたので、それを機に、モバイル×ゲームだったら世界にいけるかもしれないと思い、ソーシャルゲームをつくり始めたところ、二〇〇九年に開発した『まちつく!』という携帯電話向けシミュレーションゲームがユーザー数五百万人を超えるヒットになったのです。そして翌二〇一〇年に、当時ゲームアプリなどを大ヒットさせていたアメリカのソーシャルゲーム会社「ジンガ」からオファーをいただいて、ウノウを売却しました。その後約一年半、ゼネラルマネージャーとしてジンガジャパン(二〇一三年解散)にいたのですが、二〇一二年に退職して、二〇一三年二月に現在の「メルカリ」を設立したという経緯です。