鹿児島の寿司屋

鮨匠 のむら

ご主人の軽快なトークも楽しい
魚への愛に満ちた逸品が揃う

「いろいろ喋るけど、気にしないで。マグロと同じで喋ってないと死んじゃうからね(笑)」という前振りから始まる、ご主人・野村伸治氏のトークも楽しく、初めての客でも寛いで過ごせるだろう。11月のある日のラインナップは以下の通り。

 刺身は、旨味のあるヒラメ、2日間寝かせた天然カンパチ、表面をサッと炙ったマナガツオ、甘い香りが広がる茹でタコ。

 続く小鉢には、酢飯の上に白子。滑らかで思わず唸るハガツオ。イクラと菜の花をのせた茶碗蒸しは、餅とさつま芋入り。

 そして握り。アオリイカ。細かく包丁目を入れ上にゴマと塩、ゆず皮。ねっとりと甘く、温かい香りがある。メイチダイ。じんわりと焦らすような、しぶとい甘みあり。

 スジアラ。シコッとした歯応えで、噛むと甘みが滲み出る。世界で鹿児島しか獲れないという珍しいナミクダヒゲエビ。〝身がしまった甘エビ〟という味わい。

 茹でたて車エビ。見事な甘さで、香り高い。皮ごと炙って皮を外したノドグロ。品のある脂で、艶のある味わい。コハダ。浅めの締めで、しなやかに酢飯と合う。

 スマガツオ。本日のベスト。滑らかな身にすうっと歯が包まれる。口をゆっくり動かすと、品のいい脂が流れ、甘い香りが口の中に広がっていく。あまりの旨さに、目を閉じて何も言えず、しばし動けなかった。

 シマアジ。噛めば、シコッとして凛々しい。サヨリ。ほのかな甘みが素晴らしい。

 アワビ。しなやかな食感。口の中から消えると、喉の奥から香りが立ち上ってくる。
「卵かけご飯です」と出されたのがイクラの握り。卵本来のねっとり濃密な甘み。

 仙鳳趾(せんぽうし)の牡蠣 。味に透明感がある。バショウカジキ。脂のきれいさが光っている。

 蒸した太刀魚。煮穴子。最後は、山芋と麦味噌とネギの味噌汁。しみじみと旨い。

●鮨匠 のむら 
鹿児島県鹿児島市松原町6-2 松原ハイツ1階
電話=099(226)1210
営業時間=応相談(完全予約制・昼でも夜でも可)
定休日=予約のない日

名山 きみや

本格的日本料理と握りが出され
酒とのマリアージュを楽しむ

 日本料理の職人である兄の一成さん、寿司職人の弟の一樹さん、木宮兄弟2人で営む。兄が日本料理を手がけ、弟が寿司を握り、日本酒やワインなど酒とのマリアージュがなされる。昨年2月に訪れたある日のコースをご紹介。

 まずは一杯のお茶から。2時間氷出ししたという知覧茶「さえみどり」は丸く甘く、心ほぐれる素晴らしきスタートである。

「鹿児島醤油で炙った平貝のアサクサ海苔巻き」。貝の甘みが濃い。「屋久島キンメ握り」は皮を炙り、出汁漬けにし、振り柚子。

「焼き白子、ウニ、海老芋」。子を潰し、ウニと混ぜて食べれば、最初に艶っぽい白子の精が来て、ウニの甘みが追いかける。今度は、炊いてから揚げた海老芋にたっぷりかけてやる。すると白子の色気とウニの濃密な旨味が抱き合って丸くなり、海老芋の実直な甘さが品良く浮き立ってくる。

「ウルイ、イイダコ、酢で炊いたウド、素揚げしたコゴミ、車海老、そら豆」。それぞれの素材の特性を活かした、丁寧な仕事が光る盛り込みである。

「サワラのタタキ」。燻製させた鹿児島醤油と、太白胡麻油を少し加えた、甘いタレがかけてある。

「穴子白煮握り」は塩と新スダチで。適度な鉄分と脂が心を溶かす「山口産あん肝握り」。きめ細かい「白身と和三盆の厚焼き卵」に続いて、「ノドグロお椀」。「コハダ握り」「イワシ握り」は、脂が乗って甘い。

「フォアグラの茶碗蒸し 磯海苔あん」。海苔の香りが顔を包む。「太刀魚照り焼き」は、すっと溶けていく、まるでムースである。溶けるように甘い「甑島(こしきしま)ヤリイカ握り」「カワハギと肝握り」「出水(いずみ)の蛤握り」。

 最後は、山椒の刺激が良い「アワビ、蕪、 牛蒡の有馬煮 ご飯」。そして、デザートの「自家製葛きり 黒蜜」で、全19品となる。

●名山 きみや 
鹿児島県鹿児島市名山町4-10 三宝ビル2階
電話=099(295)0922
営業時間=18時半~(完全予約制)
定休日=不定休