2018年10月号 情報区

加賀料理「赤坂浅田」
日本橋と大手町に
新店舗オープン

1867年金沢市で旅籠「浅田」を創業、その後1971年「赤坂浅田」を開業し、続いて青山、名古屋と、加賀料理の魅力を伝え、名声を博してきた同店が、今年9月、都内に新しく二店舗をオープンした。
9月13日(木)、三井ガーデンホテル日本橋プレミア9階(中央区日本橋3-4-4)にオープンした「日本橋浅田」は、5つの椅子席の個室とカウンター席を備え、外に広がる風景を眺めながらゆったりと料理を楽しめる。本格BAR「松」も併設。ホテルでの開業に伴い、和洋の朝食も提供される。 続いて9月25日(火)、大手町プレイス2階(千代田区大手町2-3-1)に、3部屋の座敷(掘り炬燵)とテーブル個室1部屋を備えた「大手町浅田」が開業。「赤坂浅田」同様、大切な方との会食や接待に最適な、料亭のもてなしと、北陸の旬の食材を用いた加賀料理を堪能できる。
■老四川 飄香 小院
東京都港区六本木6-10-1 ウエストウォーク5F
ランチ:11時~14時半(L.O.)
ディナー:17時~21時(L.O.)

●お問い合わせ・ご予約
日本橋浅田 TEL 03-5542-1700
大手町浅田 TEL 03-6262-1218

和食文化国民会議監修
和食の基礎知識が
1冊でわかる『和食手帖』

『和食手帖』(1,620円)が思文閣出版より上梓された。手軽な新書版サイズの中に、和食[大饗料理/本膳料理/懐石料理/会席料理/日常食]の定義や歴史から、食事マナー、食材の特徴、日常食で用いる道具や調理法、出汁の取り方、盛り付け、日本各地の食まで、コンパクトに説明された充実の内容。イラスト付き、オールカラーで分かりやすく、和食について知りたくなった時に開くと、教養から実践のための知識まで幅広い情報を与えてくれる。ミニ事典として、手元に置いておきたい1冊だ。

●お問い合わせ
思文閣出版
TEL 075-533-6860>

東京銀座資生堂ビル10階
新生「ファロ」
グランドオープン

改装休業していた「ファロ資生堂」が、10月1日(月)、新生「ファロ」として始動。イタリアで20年にわたり第一線で活躍中の能田耕太郎シェフが率いるチームによる、クリエイティブなセンスと技術、日本の食材とを組み合わせた料理を、昼夜共にコースメニューで提供。ランチ(4品~)8,000円、ディナー(10品~)20,000円。税込・サ別。

●お問い合わせ・ご予約
FARO(ファロ)
[定休日]日曜日・祝日・夏季・年末年始
[営業時間]12時~13時半(L.O.)、18時~20時半(L.O.)
TEL 03-3572-3911

湖池屋 ドンタコス
甘じょっぱさが癖になる
ハニーマスタード味

とうもろこしを丸ごとすりつぶし、パリッと焼き揚げた香ばしいトルティアチップス「ドンタコス」に、「ハニーマスタード味」と、コンビニ限定「ハニーマスタード味 80g」(共にオープン価格)が新発売。“もっと多くの女性に食べてもらいたい”と、『女性のおつまみ』をテーマに開発。マイルドな辛みのマスタードに、チキンや野菜の旨みを隠し味に加えた「ハニーマスタード味」は、“甘じょっぱさ”が癖になる、料理のような深い味わい。

●お問い合わせ
湖池屋 お客様センター
TEL 0120-941-751(平日9時~17時)

限定ウイスキー第3弾
「ザ・マッカラン
エディション No.3」発売

サントリースピリッツは、スコットランドのシングルモルトウイスキー「ザ・マッカラン エディション No.3」(700ml/16,200円)を、10月23日(火)から全国で数量限定新発売する。1824年に設立された伝統ある蒸溜所「ザ・マッカラン」が所有する、素材や容量の異なる6種類の樽の原酒をヴァッティングした限定ウイスキーの第3弾。バニラやシナモンを思わせる香り、フルーティな味わい、長く続く余韻が特長となっている。

●お問い合わせ
サントリーお客様センター
TEL 0120-139-310

ハウス食品グループ
毎日の食事で摂取する
乳酸菌L-137

ハウス食品グループは、「なれずし」から発見された乳酸菌L-137を長年にわたり研究。この乳酸菌L-137を加熱処理により、乳酸菌の品質を安定化し、様々な食事や飲み物で摂れるようにした「まもり高める乳酸菌L-137シリーズ」の発売を始めた。その中から、「まもり高める乳酸菌L-137 ドリンク」(ヨーグルト風味)120ml×30本入りを、読者5名にプレゼント。ご希望の方はハガキまたはメールで本誌編集部まで。応募多数の場合は抽選にて当選者に商品を発送。

●ご応募
味の手帖 mail@ajinotecho.co.jp/

銀座 芝濱
松茸と秋の素材が満載
10月のおすすめ料理

全国の産地から吟味した鯛で仕立てた「鯛ごはん」で締める、夜の定番「おまかせコース」(10,000円~)が人気の「千客万来 芝濱」。秋の便りが聞こえてくるこの時季に入荷する恒例の松茸をはじめ、旬の食材がコースに組み込まれる。

昼は「旬の天婦羅コース」(6品・3,000円~:前日までに要予約)や、名物「鯛天茶」が味わえる「鯛づくし膳」(1,800円)他、気軽な集いに「昼懐石」(5,000円~)もぜひ。

●お問い合わせ・ご予約
千客万来 芝濱
TEL 03-6278-0488
http://www.ginza-shibahama.jp/

30人超の執筆者による
日めくりカレンダー
2019年版

日めくりカレンダーの第7弾。365の旬の“美味しい”素材コラムと、宗誠二郎氏による描き下ろしイラスト。例年の執筆陣に、「東京??兆」湯木俊治氏、「バードランド」和田利弘氏、「資生堂パーラー」井上直久総調理長、「新宿・京懐石 柿傳」安田眞一氏ら食のプロを新たに迎え、総勢30数名による充実したコラムとなった。クリスマスやお歳暮、海外へのお土産にも最適。
[本体]文庫本サイズ1穴リング綴
[価格]3,240円(税込・送料別)

●お問い合わせ・お申し込み
味の手帖カレンダー専用サイト
http://www.ajinocalendar.net/

フランス料理の新店(1)

L’Evol(レヴォル)

質の高い食材を
モダンクラシックな手法で表現

 外苑西通りから表参道に抜ける、通称「まい泉通り」に、今年三月に開店。ワインバーとウェイティングを兼ねた地下一階から階下に降りると、四十席のメインダイニングが広がる。白と深いピンク、黒で統一された店内は、ゆったりと席が配置されており、くつろいで過ごすことができる。

 シェフの高木和也さんは、渋谷「キャリエ」(昨年閉店)の評判を高めていた方で、「質の高い食材を、モダンクラシックな手法やソースで表現する」ことを目指し、腕をふるう。

 ディナーコースは、一万円(十皿)と、七千円(七皿)。ある夏の日の一万円のコースをご紹介。

 一皿目は、シェフが前の店から提供してきた「パテ・バーガー」。小さな小さなバンズでパテを挟み込んだバーガーで、練り肉ならではの香りが食欲を刺激する。

 二皿目は、雲丹をのせた「トウモロコシのムース」。トウモロコシの濃厚な甘みが舌に流れ、思わず微笑む。

 三皿目は「車エビとアスパラガスのアンサンブル」。直火で炙って冷水に取った車エビと、薄切りアスパラガスを交互に重ねた一皿で、中心がレアに保たれた車エビの繊細な甘みがいい。添えられるのは、軽く味付けした玉ねぎと茄子のラタトゥイユ。

 四皿目は、野菜の盛り合わせ「エコファームアサノと高農園の野菜~夏の香り~」。力強い野菜の下にはコンソメ、上には枝豆を泡状にしたものがのせられている。ミネラルに富む野菜と、滋味深く綺麗な味わいのコンソメとの出合いが素晴らしい。

 五皿目は「フォアグラのEvolution Ver.4」。白桃、赤桃のピュレ、パンドエピス(パン菓子)のクランブル、セルフィユ添え。低温で加熱されたフォアグラの、ねっとりと均一な艶を感じさせる食感と脂の香りに、桃たちが優美さを加える一皿。

 六皿目「イサキのパイ包み焼き、ソースショロン」。スズキを使ったボキューズのスペシャリテへのオマージュか。イサキと帆立のムースを詰めたパイである。そのパイの焼き具合がいい。焦げる寸前まで焼き込んだ香ばしさが魅力的で、一方、中のイサキは火が通り過ぎることなくしっとりと甘みを膨らませている。その加熱の見極めが、実に見事である。

 七皿目「ラ・フルール・ドゥ・ミモレット」。同店のオーナーソムリエ細野博明氏のスペシャリテである。本来はグラニテが置かれるところだが、口腔内や喉を冷やしすぎる点と、チーズは肉の脂を吸収することから考えついたという。フロマージュブランの上に、薄く削り花びら状にした、十八ヶ月熟成のミモレットをのせ、百花蜂蜜をかける。ミモレットの熟れた深い塩気とフロマージュブランの爽やかな酸味、濃厚な蜂蜜の甘みが共鳴し合う。

 八皿目の肉料理は三つの料理から選択する。その一つ「トゥーレーヌ産鳩のロースト、ソースサルミ」は見事なキュイソンで、口の中に肉汁がしたたり落ちる。そしてガラや内臓を煮詰めたソースサルミが妖艶さを演出する、堂々たるフランス料理である。

 デセールも三品から選択。「ノワゼッティーヌ、フランボワーズアイス」は、ヘーゼルナッツの香り高い焼き菓子に、ヘーゼルナッツを入れたチョコとフランボワーズソースを添える。そして、ミニャルディーズと氷温熟成珈琲で宴の幕が下りる。

 ランチコースは、四千五百円(五皿)と、七千五百円(七皿)。昼夜とも税・サ別途。
 
東京都渋谷区神宮前3-6-7 DEAR神宮前地下1階 
電話=03(6875)0357
営業時間=11時半~13時半(LO)、18時~21時半(LO) ※日曜日はランチのみ営業
定休日=月曜日

Restaurant Umi

生命の誕生の源である「海」に
感謝を込めた料理

 閑静な住宅街に、六月にオープンした一軒家レストラン。シェフは、パリの一つ星レストラン「Sola」でスーシェフとして活躍された、藤木千夏さん。

 福岡県の有明海を見て育った彼女の「海」への思い、生み出すことの「生み」、そして「Sola」へのオマージュを込めて「Umi」と店名をつけたという。

 ディナーコースは、八千五百円(七皿)と一万二千円(十一皿)。ある夏の日の一万二千円のコースは以下の通り。

 一皿目は、体を整え、喉を開き、また「食事の支度が揃っていますよ」ということを指し示す、日本古来の粥からスタートする。淡い「茶粥」は、喉を清めながら心を温め、ごぼうと白瓜、蕪のピクルスが食欲をゆっくりと開かせ、美しい滋味が宿ったコンソメ(牛、鶏、焼いた長崎のトビウオ、野菜類、しいたけ)が体を整える。

「長崎産アジのマリネと茄子のマリネ、茄子を炭化させたソース」。茄子のほのかな甘みと、品を感じさせるアジの脂の旨味を純粋に合わせて、他の要素を削った潔さがいい。雑味のない澄んだ味が味覚を開く。

「白イカのグリル、エンペラとゲソ、ズッキーニのソース、松の実などによるピストソース、シトロンキャビア」。白と緑の皿が美しい。ナッツの甘い香りとイカの甘い香りが呼応し合い、胸がときめく。

 スペイン・バスク地方の料理「ピミエント・レジェノ」(ピーマンのブランダード詰め)のアレンジ。宮崎県産の甘みの強い赤ピーマンにブランダード(鰯、タイム、じゃがいもと牛乳を合わせたもの)を詰め、パン粉とパプリカ粉をつけて焼き、赤ピーマンソースを添えた一皿。ほのぼのとした郷土料理の美味しさがあって、どこか懐かしいような気分にさせられる料理である。

 魚料理は「みやび鯛のパイ包み焼き、グレープフルーツ入りブールブランソース」。パイには、根セロリとタプナード(オリーブのペースト)、魚のムース、微量の柚子胡椒が入れられ、みやび鯛(天草のブランド鯛)の気品ある甘みを優美に持ち上げている。またブールブランの酸味の利かせ方が柔らかで、魚の旨味に対して優しい。

 肉料理は「シャラン産窒息鴨のロティ、泥つき人参とオレンジジュースと人参のピュレ、人参の花添え」。鴨のキュイソンに色気があり、見事。土の温かみを伝える人参の濃い甘みにため息が出る。

 そして「山梨県産サンタローザ(プラム)、レモンタルト、りんごのクラフティ」という、楽しい組み合わせのデセールで終了。

 ランチは土曜日のみで、六千円(七皿)のコース一種。昼夜とも税・サ別途。

東京都渋谷区恵比寿4-19-7 
電話=03(6456)4306
営業時間=12時~13時半(LO)、18時~21時(LO)※ランチは土曜日のみ
定休日=月曜日・日曜日

牛尾治朗対談

セイノーホールディングス社長、田口義隆さん。
一九三〇年に祖父の田口利八さんが創業し、今年で八十八年。
「カンガルー便」でおなじみの路線トラックで日本全国の企業間物流のパイオニアとして輸送業を核に本拠地の岐阜県をはじめ全国で様々な事業を行っている。
CS「お客様満足」の継続的提供のためにはES「従業員満足」が基盤となるという創業者から受け継ぐ経営理念を決定時の判断軸に置き、事業を展開されているという。

田口 義隆(セイノーホールディングス(株)代表取締役社長)
会社を発展させ、社員を幸福にする

牛尾
ようこそお越しくださいました。

田口
お招きいただきまして、ありがとうございます。

牛尾
あなたが社長になられて何年になるのですか。

田口
私が叔父の田口義嘉壽(よしかず)(一九三八~二〇一六)から社長を引き継いだのは十五年前の二〇〇三年、四十二歳の時でした。

牛尾
創業はいつですか。

田口
祖父の田口利八(りはち)(一九〇七~八二)が、一九三〇年に岐阜県益田郡萩原町(現・下呂市)で田口自動車を創業しまして、今年で八十八年になります。月賦で購入した中古トラック一台で運輸業を始めました。その後、一九三三年に場所を現在の本社所在地である大垣市に移し、「美濃の西」ということで、四一年に西濃トラック運輸株式会社を設立しました。しかし、四二年に戦時陸運統制令により集約合同され、終戦後の四六年に合同会社より分散する形で水都産業株式会社を設立して事業を再興しまして、四八年に再び社名を西濃トラック運輸株式会社に変更し、次いで五五年に西濃運輸株式会社に商号変更したということです。

牛尾
創業者の利八さんが、日本の中央部に位置する大垣に拠点を構えたという、先見の明は素晴らしいですね。

田口
利八は長野県の出身なのですが、岐阜県で商売を始めて、その三年後に、さらなる成長を目指し、他の都市部への進出を狙って大垣市に拠点を移したわけです。その理由は三つありました。一つは平野であること、二つ目に水が豊かであること、三つ目が交通の要衝であること。水があるところには工場ができる、すると、運ぶ荷物が自然と発生するだろうと読んだわけです。萩原町の頃は主にダムの部材などを運んでいましたが、大垣市に来てからは加工製品を運ぶようになりました。大垣は日本の中心にあり、利八が目指す全国進出にちょうど良かったのです。

そこで利八が取り組んだのは長距離定期貨物便、今で言う特別積合せ貨物運送(貨物自動車運送事業法に規定された、自動車を用いた貨物運送の一形態。地域ごとに仕分けを行う拠点を用意し、拠点間を結ぶ定期的な運送便に貨物を積み合せて運送する方法)でした。当時の貨物輸送の主流は国鉄(現・JR貨物)による鉄道貨物輸送で、一部の中距離路線便を地場の会社、もしくは日本通運さんが行っていました。そこに利八は着目し、近い将来、高速道路網が整備されて自動車の時代になり、物流の世界も長距離トラック輸送へと変わるだろうと判断したわけです。そこで利八は、当時の運輸省を訪ねて免許を申請し、前例がないことだったのでなかなか認められなかったようですが、二十一日間通いつめて認可を手にしました。

そうして、大垣~名古屋を皮切りに長距離トラック輸送をスタートさせ、大阪、東京へ、その後もさらに東西南北へと路線網を伸ばし、一九七〇年に青森~大分、青森~熊本の長大路線網を確立させました。そして、 翌七一年に名証に上場し、七二年に東証一部に上場しました。

牛尾
あなたのお父様が社長をされたのはいつでしたか。

田口
父の利夫(一九三二~九八)が社長に就任したのは、祖父が亡くなる一年前の一九八一年です。そして、八七年に父の弟の義嘉壽がそのあとを引き継ぎました。

牛尾
私がJC(日本青年会議所)の会頭をしていた時に、利夫さんが副会頭を務めてくださった。その時は、利夫さんは社長ではなかったのですね。

田口
その頃は祖父の利八が社長で、父は専務でした。

牛尾
私が会頭を務めたのは一九六九年で、その翌年の会頭を利夫さんにお願いしようと思っていたのですが、「父親から、JCの会頭などおまえにはまだ早いと言われた」というわけです。それで結局、ほかの方が私の次に会頭になられて、その翌年にもう一度会頭を利夫さんにお願いしたら、今度は「牛尾さんのあとを継ぐ形ならお受けしたかったのですが、そうでないならお引き受けできません」と言って、断られたのですよ(笑)

田口
そういったやりとりがあったことは父から話を聞いています。その節はご迷惑をおかけしました(笑)。

牛尾
結局、それからしばらくして義嘉壽さんが会頭を務められたのでしたね。

田口
はい。一九七六年です。

牛尾
利八さんとも利夫さんともお付き合いをさせてもらいましたが、お二人ともとてもよく仕事をされる方でした。利八さんの弟さんの福太郎さんもよく働く方でしたね。

田口
福太郎は利八のサポート役として、副社長、副会長を務めていました。

牛尾
私が会頭を務めていた頃、利夫さんも含め、JCの仲間はみんな仲が良くて、家族ぐるみでよく旅行しましたね。

田口
鳥取JCとか秋田JCとか、いろいろなところから十何家族が集まって、毎年一回大人数で旅行しましたね。大人チームと子供チームに分かれてバスに乗って。私が子供の頃から成人しても続いていましたから、二十年ぐらいいろいろなところに行かせていただきました。それがもう毎年楽しみで。牛尾さんの息子さんの志朗さんは私の三つ上で、子供チームのリーダー的な存在でしたが、トランプにしてもいろいろな遊び方を知っていらっしゃって、都会の子は違うなと(笑)。大人チームはお酒を飲みながら、政治の話や経済の話などをされていて、そのやりとりを見て子供心にステキだなぁと思ったのを覚えています。なかでもやはり牛尾さんはリーダー的な存在でしたが、子供に対しても全く分け隔てなく接してくださって、すごいなぁと思っていました。

子供の頃は「ステキなカッコいいおじさま」という感じで見ていましたが、私が成人してからは、至らないところをきちんと諭していただいて。一九九八年に突然父が心筋梗塞で倒れて、六十六歳で亡くなりましたが、特にその後は父親代わりのように牛尾さんにいろいろとご指導いただいて、感謝しています。

伊藤 公一

伊藤病院院長

備長炭ステーキ炉 Sakai
名古屋で出逢った素晴らしい肉料理

 本拠地である東京から分院のある名古屋と札幌には頻繁に出向き、定宿と仕事場と馴染みの盛り場を往来している。

 名古屋に新天地を求めたのは十五年前。その頃は愛知万博の開催時期にも重なり、名古屋観光客は激増。海老フライや味噌かつ、あんかけスパゲッティ、名古屋コーチンを使った焼き鳥、さらには喫茶店のモーニングサービスである小倉トーストなど、地元の名物料理が「なごやめし」と命名され、今でもその人気は続いている。

 特に我々が診療の場を求めた中区大須は、若宮大通、伏見通、大須通、南大津通の四つの主通りに囲まれた大きな区域内に千二百もの様々な店舗が連なる「大須商店街」が、大須観音の参道として一年中多くの人で賑わっている。

 今回ご紹介する「備長炭ステーキ炉 Sakai」は、その商店街隙間の静かな路地に位置する、まさに隠れ家である。

 漆黒の大きな一軒家で、控えめな門扉をくぐり、センスの良い庭を横に見ながら内玄関の扉を開けると、オーナーシェフ坂井保明氏と大勢のスタッフが、見晴らしの効いたカウンター内で一生懸命にフライパンを振り、料理の盛り付けに追われる姿が目に飛び込んでくる。

 およそ十年前、名古屋の恩人である丸茂病院(現・マルモブレストクリニック)の竹内院長親子が、肉食の小生を案内してくださったこの店は、既に大須の素晴らしい肉料理店として有名であったが、単なるステーキハウスには留まっていない。

 看板の備長炭を使った和牛の網焼きのみならず、豚料理、魚介類の焼き物から、すき焼き、締めのトリュフご飯、イタリアンスパゲッティ(名古屋名物)など、極めて豊富なアラカルトメニューを、ワインと共に楽しむことができる。

 このように出張先で素晴らしい料理の味を知り、間もなくしたところで「さかい」は、東京・麻布十番に、全く同じメニューを持って、またまた素敵な隠れ家出店を果たした。

 そこで、お節料理まで頂く仲となった現在、私にとっては名古屋では地元名店の味を、東京でも名古屋の味を嗜めるようになったわけだ。

 「人生は縁と宴」である。どこにいても美味しいものを食し続けたいものだ。
 
備長炭ステーキ炉 Sakai 名古屋本店
愛知県名古屋市中区大須2-8-23
TEL 052(222)7505

備長炭ステーキ炉 Sakai 麻布十番店
東京都港区元麻布3-11-2 カドル麻布十番地下1階
TEL 03(3402)0429

2018年10月号

◆牛尾治朗対談◆

田口 義隆

セイノーホールディングス(株)代表取締役社長

◆万由美の昼膳交遊録◆

松尾 豊

東京大学大学院工学系研究科特任准教授
◆味の見聞録◆

フランス料理の新店(1)
話題の新しいフランス料理店を、二号にわたってご紹介したい。若い新進気鋭の二人のシェフによる料理に、刺激を受け、楽しんでほしい。

目次

牛尾治朗対談
田口 義隆(セイノーホールディングス(株)代表取締役社長)
「会社を発展させ、社員を幸福にする」

日々是好日なり
文・南美希子(エッセイスト・コメンテーター)
第166回「旅」

食のタイムトラベル
文・加来耕三(歴史家・作家)
第85回「西郷隆盛が〝荘内の西郷さん〟に振る舞った、豚肉の煮物」

草を喰む
文・中東久雄(「草喰なかひがし」主人)
第54回「縄文人に学ぶ」

はんなりと京菓子
文・山口祥二(「京菓子司 末富」代表取締役社長)
第31回「麩焼き煎餅」

悪食三昧
文・樫井雄介
第199回「食いしん坊の世代断絶」

味のパトロール
文・伊藤 公一(伊藤病院院長)
愛知・名古屋「備長炭ステーキ炉 Sakai」

万由美の昼膳交遊録

ゲスト:松尾 豊(東京大学大学院工学系研究科特任准教授)

美味良宴
文・正田 隆(正田醤油(株)社長)
其の二百三十八「全米一住みやすい街は、また訪れたい、美食の街(1)」

味の見聞録
第261回「フランス料理の新店(1)」

おいしい!には訳がある
文・宮川順子(MIIKU(社)日本味育協会代表)
第34回「薬膳料理は中華だけ?」

ふるさとの味、おふくろの味
文・渡瀬 昌彦(講談社常務取締役)
第335回「タカコさんの天麩羅」

台所と食卓の名脇役(新連載)
文・細萱 久美(元(株)中川政七商店バイヤー)
第6回「ライスクッカー」

おいしいひとり旅
文・山崎まゆみ(温泉エッセイスト/ノンフィクションライター)
第19回「指宿温泉『いぶすき秀水園』 やっぱり産地が一番うまい」

口福の造り手を訪ねて
文/写真・猪口由美(『セコムの食』商品バイヤー)
第151回「ほがらか最中アイス」

これをあげたい!
文・横山 操(京都大学大学院農学研究科研究員・NPO法人和の学校会員)
第127回「秋の調べ」

タネもシカケもある話
文・森田敦子((株)サンルイ・インターナッショナル代表/植物療法士)
第79回「産前産後のケア」

ドクターの天眼鏡
文・石田浩之(医学博士)
第127回「食嗜好と記憶」

ソムリエの呟き
文・渋谷康弘(ソムリエ)
第180回「がんばれ『クラヴィスオレア』 どちらも一番になってほしい」

ハイ!!チーズ
文・皆見敦子(栄養士/チーズシュバリエ)
第73回「チーズバーガー」

コーヒーを巡る人々
文・門上武司((株)ジオード代表取締役/フードコラムニスト)
第38回「モノアートコーヒーロースターズ」

共感する食のフィロソフィー
文・小山 進(「パティシエ エス コヤマ」オーナーシェフ)
第54回「カカオの故郷メキシコ 肌で感じた未体験の食文化」

ジパング式素材交遊録
文・マッキー牧元(タベアルキスト)
第286回「老練なうなぎ職人の巻」

さらり日記
文・遠山正道((株)スマイルズ代表取締役社長)
第262回「夕御飯」

〈シドニー発〉麻子ママ奮戦記
文・中宮麻子
第202回「小休止」

キャビンアテンダント私のお気に入り
文/写真・満名 禎恵(日本トランスオーシャン航空客室乗務員)
第307回「悠久の泡盛文化とともに」

ケ・セ・ラ・さ・ら
文・都築 理沙
第175回「ハーブ風味の肉団子 トマト煮込み」

名店会ファイル
第244回「新宿つな八つのはず庵」

ひと皿のことの葉
文・上條宏昌(小誌編集部)
第91回「分量外」

立松 典子

百貨店勤務

オステリアタッキーニ
どんな時も温かく迎えてくれる大好きな隠れ家レストラン

 完熟トマトソースと自家製パンチェッタをたっぷりと使ったソースが、少し太めのパスタによく絡む。私が大好きな定番メニューの一つ「アマトリチャーナ」。そして、低温でじっくり焼き上げた北海道産「奄夢豚(あまむぶた)」は噛むほどに豚の甘みが口に広がり、ジューシーさがたまらない。周りに添えた道産の季節野菜は、豚に合わせてそれぞれ調理法が変えられておりシェフのセンスが光る一品だ。手が込んでいるのに食べ疲れしない。どこか無骨でちょっと田舎臭い。楽しかった昨年のイタリア旅行が蘇る。

 ここは札幌の中心地すすきののオステリア。いつも人懐っこい笑顔で迎えてくれるサービスの女性。カウンター越しにオープンキッチンを覗くと、いかにも「美味しい料理を作ります!」と言わんばかりの体格の良いシェフがニコニコしながら挨拶をしてくれる。家ではないのに「ただいま」と言いたくなるこの雰囲気がたまらない。

 菊地高章シェフは北海道出身で、東京の有名店で十年、本場イタリアでも数年修業を積み、夢だった地元でのレストランオープンのため戻ってきたという、生粋の「道産子」だ。今年の五月にオープンしたばかりだが、札幌のグルメ雑誌や美味しいもの好きに知られるお店になってきている。

 隠れ家だけに周りに教えるのは控え気味にしているが、もちろん、大切な友人や家族、恋人を誘うこともある。そんな時は旬の北海道の食材をふんだんに使ったバランスのよい構成のコースを楽しむ。季節ごとにガラリと変わるのが魅力的。

 一人ふらりと立ち寄る際は、アラカルトから二、三皿をチョイス。食べたい物が多すぎて毎度黒板とにらめっこ。お願いすると量を少なめにしていただけるのも嬉しい計らいである。明るくおしゃべり上手なシェフと、会話をしながら料理ができあがるまで過ごすワインタイムが楽しみな時間だ。

 先日は、本州から訪ねてきた妹と一歳になったばかりの甥っ子を連れて伺ったが、甥っ子に出してくれた季節野菜のリゾットにびっくり。これほど丁寧に用意していただけるとは。大人でも食べたくなる美味しさ。もちろん甥っ子はペロリと完食! 子供が一番正直かもしれない。

 サプライズの演出も相談に乗ってくださるので、嬉しいヒストリーが温かいこの場所でたくさん生まれることを期待している。どんな時も温かく迎えてくれる「オステリアタッキーニ」は、大切な人たちを連れて行きたくなる私の大好きな隠れ家レストランなのだ。

北海道札幌市中央区南四条西二丁目 セントラルS4ビル4階
TEL 011(206)6969

2018年9月号

◆宮内義彦対談◆

山田 進太郎

(株)メルカリ代表取締役会長兼CEO

◆とーやまの昼膳放談◆

戌井 昭人

俳優・劇作家・小説家

◆味の見聞録◆

話題のイタリア料理店
今年新しくオープンした話題のイタリア料理店をご紹介。まったくタイプの異なるこの二軒は、東京食文化の豊かさを教えてくれる店である。

目次

宮内義彦対談
山田 進太郎((株)メルカリ代表取締役会長兼CEO)
「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」

日々是好日なり
文・南美希子(エッセイスト・コメンテーター)
第165回「不眠症」

食のタイムトラベル
文・加来耕三(歴史家・作家)
第84回「独楽吟にうたわれた食と酒」

草を喰む
文・中東久雄(「草喰なかひがし」主人)
第53回「雨ニモマケズ風ニモマケズ」

はんなりと京菓子
文・山口祥二(「京菓子司 末富」代表取締役社長)
第30回「おはぎ」

悪食三昧
文・樫井雄介
第198回「鮎の焼き方」

味のパトロール
文・立松 典子 (百貨店勤務)
北海道・札幌「オステリアタッキーニ 」


とーやまの昼膳放談
ゲスト:戌井 昭人(俳優・劇作家・小説家)

美味良宴
文・マッキー牧元
其の二百三十七「『富山美食探訪満腹ツアー(最終回)」

味の見聞録
第260回「話題のイタリア料理店」

おいしい!には訳がある
文・宮川順子(MIIKU(社)日本味育協会代表)
第33回「古漬けとヨーグルト どちらの酸味がお好き?」

ふるさとの味、おふくろの味
文・杉田 啓三(ミネルヴァ書房代表取締役社長)
第334回「ナスと『おふくろの味』」

台所と食卓の名脇役(新連載)
文・細萱 久美(元(株)中川政七商店バイヤー)
第5回「手付きセラミック付き焼き網」

おいしいひとり旅
文・山崎まゆみ(温泉エッセイスト/ノンフィクションライター)
第18回「『房総鴨川温泉 是空』アワビ踊り焼きとまご茶づけ」

口福の造り手を訪ねて
文/写真・猪口由美(『セコムの食』商品バイヤー)
第150回「山田製油のごま油」

これをあげたい!
文・辰野 勇 ((株)モンベル代表取締役会長・NPO法人和の学校理事)
第126回「式亭の『余情残心』と『お番菜』」

タネもシカケもある話
文・森田敦子((株)サンルイ・インターナッショナル代表/植物療法士)
第78回「夏の終わりのフィトケア」

ドクターの天眼鏡
文・石田浩之(医学博士)
第126回「ボクシングと私」

ソムリエの呟き
文・渋谷康弘(ソムリエ)
第179回「世紀のワインコレクション ワインは飲むべきか、集めるべきか」

ハイ!!チーズ
文・皆見敦子(栄養士/チーズシュバリエ)
第72回「チーズセミナー」

コーヒーを巡る人々
文・門上武司((株)ジオード代表取締役/フードコラムニスト)
第37回「アイスコーヒー」

共感する食のフィロソフィー
文・小山 進(「パティシエ エス コヤマ」オーナーシェフ)
第53回「ジャンルを越えた『美味しいもの』へ レストランとしての次なるステージ」

ジパング式素材交遊録
文・マッキー牧元(タベアルキスト)
第285回「初うなぎと鰻串の幸福」

さらり日記
文・遠山正道((株)スマイルズ代表取締役社長)
第258回「小山さん」

〈シドニー発〉麻子ママ奮戦記
文・中宮麻子
第201回「アンチエイジング」

キャビンアテンダント私のお気に入り
文/写真・上田 知子(日本航空客室乗務員)
第303回「由布院盆地を一望する 丘の上のピッツェリア」

ケ・セ・ラ・さ・ら
文・丸山 晶
第174回「タコとドライトマトのマリネ」

名店会ファイル
第243回「Wakiya迎賓茶樓」

ひと皿のことの葉
文・上條宏昌(小誌編集部)
第90回「こってり」