2018年6月号

◆宮内義彦対談◆

川口 順子

武蔵野大学客員教授・武蔵野大学国際総合研究所フェロー

◆万由美の昼膳交遊録◆

カニリカ

放送作家・脚本家・演出家
◆味の見聞録◆

とんかつ
とんかつがブームになりつつある。外食産業においてブームの前兆は、今までとは全く異なる店名が現れた時と言われるが、昨年池袋に「とんかつは飲み物。」「嬉嬉豚とんかつ 君に、揚げる」など斬新な名の店が立て続けに開店し、大手外食チェーンの参入も始まった。今回は三軒の優良店をご紹介。。

目次

宮内義彦対談
川口 順子(武蔵野大学客員教授・武蔵野大学国際総合研究所フェロー)
「日本の存在感を民の立場から世界に発信する」

 
日々是好日なり
文・南美希子(エッセイスト・コメンテーター)
第162回「美肌と健康」

 
食のタイムトラベル
文・加来耕三(歴史家・作家)
第81回「勝海舟はうなぎ大好きの甘党」

 
草を喰む
文・中東久雄(「草喰なかひがし」主人)
第50回「黴の季節」

 
はんなりと京菓子
文・山口祥二(「京菓子司 末富」代表取締役社長)
第27回「氷室」

 
悪食三昧
文・樫井雄介
第195回「大型商業施設のオープン」

 
味のパトロール
文・中西 悠(「子供地球基金」理事)
神奈川・日吉「アクイロット」

 
万由美の昼膳交遊録

ゲスト:カニリカ(放送作家・脚本家・演出家)

 
美味良宴
文・マッキー牧元
其の二百三十四「『パリ最新美食探検隊』が行く(5)」

 
味の見聞録
第257回「とんかつ」

 
おいしい!には訳がある
文・宮川順子(MIIKU(社)日本味育協会代表)
第30回「冷たい!『ひんやり』って何℃くらい?」

 
地味自賛
文・関谷 邦彦(南信州新聞社代表取締役社長)
第331回「伊那谷の食文化『焼き肉』」

 
台所と食卓の名脇役(新連載)
文・細萱 久美(元(株)中川政七商店バイヤー)
第2回「復刻梅びん」

 
おいしいひとり旅
文・山崎まゆみ(温泉エッセイスト/ノンフィクションライター)
第15回「豪快! 漁師料理と迫力! なまはげ」

 
口福の造り手を訪ねて
文/写真・猪口由美(『セコムの食』商品バイヤー)
第147回「金沢・加賀味噌贅沢みそ汁」

 
これをあげたい!
文・吉岡 幸雄(染織史家・「染司よしおか」五代目当主・NPO法人和の学校理事)
第123回「旬に合わせて」

 
タネもシカケもある話
文・森田敦子((株)サンルイ・インターナッショナル代表/植物療法士)
第75回「ブルーベリーの葉」

 
ドクターの天眼鏡
文・石田浩之(医学博士)
第123回「とんかつに関する一考察」

 
ソムリエの呟き
文・渋谷康弘(ソムリエ)
第176回「ブルゴーニュ地方で食した意外な郷土料理」

 
ハイ!!チーズ
文・皆見敦子(栄養士/チーズシュバリエ)
第69回「愛を込めてチーズを贈る」

 
コーヒーを巡る人々
文・門上武司((株)ジオード代表取締役/フードコラムニスト)
第34回「相性を考える(2)」

 
共感する食のフィロソフィー
文・小山 進(「パティシエ エス コヤマ」オーナーシェフ)
第50回「素材の力を引き出し全うする 日本人シェフ・佐藤慶の世界観」

 
ジパング式素材交遊録
文・マッキー牧元(タベアルキスト)
第282回「世界料理学会」

 
さらり日記
文・遠山正道((株)スマイルズ代表取締役社長)
第258回「小山さん」

 
〈シドニー発〉麻子ママ奮戦記
文・中宮麻子
第198回「変わり続けるシドニーの街」

 
キャビンアテンダント私のお気に入り
文/写真・小田 さやか(日本エアコミューター客室乗務員)
第303回「由布院盆地を一望する 丘の上のピッツェリア」

 
ケ・セ・ラ・さ・ら
文・遠藤 真淑
第171回「かつおのたたきサラダ」

 
名店会ファイル
第240回「Namban1934」

 
ひと皿のことの葉
文・上條宏昌(小誌編集部)
第87回「ブランチ」

宮内対談


東京大学教養学部卒業後、通商産業省に入省し、世界銀行エコノミスト、在アメリカ合衆国日本国大使館公使通商産業大臣官房審議官等を務められた川口順子さん。
その後、民間から環境庁長官に任命され、環境大臣、外務大臣、内閣総理大臣補佐官を歴任。
参議院議員を二期務め、政界を引退。
現在は、次の世代に持続可能な海を引き継ぐための国際的な取り組みである「世界海洋委員会」をはじめ、外交・安全保障や環境政策を中心に国際的な有識者会議やシンポジウムで発信を続けられている。

川口 順子(武蔵野大学客員教授・武蔵野大学国際総合研究所フェロー)
日本の存在感を民の立場から世界に発信する

宮内
ようこそお越しくださいました。

川口
お招きいただきまして、ありがとうございます。

宮内
今日は和食ですが、お好きな食べ物は何ですか。

川口
私は食べることが大好きで、嫌いなものがないのですが、一番好きなのは和食です。ですから、今日は楽しみに参りました(笑)。

宮内
それは良かったです(笑)。お酒は飲まれるのですか。

川口
料理に合わせて飲むのが好きで、和食には日本酒の冷やを合わせます。フランス料理やイタリア料理ならワイン、中国料理なら紹興酒。やはり料理を美味しく楽しむには、お酒と一緒にいただくのがいいですね。宮内さんは何がお好きですか。

宮内
私も和食が好きで、日本酒や白ワインを合わせることが多いです。

川口
和食というのは本当に美味しいと思います。そうでないと世界にこれほど広がらないですよね。

私が外務大臣の頃ですから十五年ほど前になりますが、モスクワに行ったら、お寿司屋さんが二百軒あると聞いて驚きました。しかも、お寿司は前菜だというのですよ(笑)。

宮内
あの頃のモスクワはそうでしたね。私も覚えていますが、モスクワのお寿司はものすごく高くて、驚くような値段でした。やはり、ロシアの景気が良かったのでしょうね。今はもう世界中にお寿司屋さんがありますね。

川口
ちょうど一年ほど前にメキシコのティファナに行ったのですが、そこにもお寿司屋さんがたくさんありました。「こんなところにも!」と驚いたのですが、考えてみるとメキシコはマグロが捕れますから、お寿司があっても不思議ではないなと。フュージョン料理というのでしょうか、だんだん和食が洋食に近づき、洋食が和食に近づくような感じに今はなりつつあるのかなと思います。

宮内
そういう傾向はありますね。イタリアに行っても、これは日本料理ではないかと思うような料理が出てくることがあります。

川口
アフリカの東海岸の沖にモーリシャス共和国という島国がありますでしょう。過去にフランス領やイギリス領だったこともあり、さまざまな国の文化や人種が入り交じっていて、インド人も多いのですが、そのインド人がフランス語を話すという面白い国なのです。

そこでレストランに入ったら、「魚の海藻挟み」というメニューがあって、どんな料理かと興味を持って頼んでみたら、その名の通り、お魚が丸々一匹出てきて、お腹にワカメがたっぷり入っているのです。もう一つ、「みそスープ」というのがあったので、これまたアフリカの沖でみそスープとは何だろうと思って頼むと、本当におみそ汁なのです。具は入っていないのですが、パンみたいなものが刺さっていて、まさにフュージョンなのですね。面白いなと(笑)。聞くと、そのお店のシェフが日本人シェフに教わったそうです。

宮内
フランス料理も日本料理の影響を受けていることを感じますね。

川口
料理もそうですし、浮世絵などアートもそうですし、逆に、日本が外国からの影響を受けているものもありますね。

最近は、仮に百歳まで生きるとしても、あとそう長くはないと考えると、元気なうちにできるだけ美味しいものを食べたいと思います(笑)。

宮内
私も全く同じ考えです(笑)。

川口
あとは、美味しいものはもちろんなのですが、私は珍しいものも好きなのです。外国に行くと、日本にはないような食材を使ったり、その地域ならではの独特の調理方法で作られた料理がありますでしょう。変なものは嫌ですが、珍しいものもいろいろと楽しみたいです(笑)。

2018年6月号 情報区

中島董商店100周年記念
『nakato cafe』
青山に期間限定オープン


中島董商店は、創業100周年を記念し、「nakato cafe」を外苑前いちょう並木入り口「ロイヤルガーデンカフェ青山」に、6月17日(日)まで期間限定でオープンする。
ランチメニューの一例として、一人前の洋食シリーズ「麻布十番シリーズ」を2種類使用した「nakatoダブルカレー」が、平日はスープ・フォカッチャ・ドリンク付で1,200円、土日祝はサラダ付で2,000円。また、ディナータイムには、「麻布十番シリーズ」や、ワインによく合うおつまみシリーズ「MAISON BOIRE(メゾンボワール)」などの商品をアレンジした、オリジナルの洋食メニューを週替わりで提供する。ゆったりとくつろぎながら、ぜひワインとともに楽しみたい。

●お問い合わせ
nakato cafe
東京都港区北青山2-1-19
ロイヤルガーデンカフェ青山
ランチ:11時~15時
ディナー:15時~23時(22時L.O.)
TEL 03-5414-6170

銀座 ア・ニュ
オープン1周年記念
食前酒をサービス

下野昌平シェフによる、広尾の人気フランス料理店「ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー」の姉妹店である「ロムデュタン シニエ ア・ニュ」が、「GINZA SIX」 13階にオープンして1周年を迎えた。ナチュラルシックな店内には一人でも気軽に訪れることができるカウンター席もあり、きめ細かなサービス、厳選されたワインとともに、クラシックをベースとしながらも軽やかで現代的な簑原祐一シェフの料理が楽しめる。
  
9月末まで、本誌を持参のうえ来店された方、お一人様に食前酒1杯がサービスされる。
●お問い合わせ・ご予約
ロムデュタン シニエ ア・ニュ
TEL 03-6263-9773(水曜定休)
http://www.lhomme-du-temps.com/

KOIKEYA PRIDE POTATO
手揚食感シリーズ第4弾
信州安曇野本わさび

まるで料理を作るように、日本産のじゃがいもを100%使用し理想のおいしさを追求したポテトチップス「KOIKEYA PRIDE POTATO」の「手揚食感」シリーズ第4弾。上品な辛味と芳醇な香りを持つ「信州安曇野産本わさび」に、信州のそばつゆをイメージした出汁の旨味を加え、日本料理を思わせる味わいに仕上げている。あわせて同シリーズ「長崎平釜の塩」「紀州岡畑農園の梅」のパッケージも刷新された。
●お問い合わせ
湖池屋 お客様センター
TEL 0120-941-751(月~金9時~17時)
https://koikeya.co.jp

サントリー
「ボウモア ヴォルト」
数量限定新発売

基本 CMYK

サントリースピリッツは「ボウモア ヴォルト」(700ml・12,960円)を6月5日(火)から全国で数量限定新発売。「ボウモア」は、スコットランド・アイラ島最古の「ボウモア蒸溜所」で、昔ながらのポットスチルで蒸溜されるウイスキー。「ボウモア ヴォルト」は、その中でも最も古く、海に近い海抜0mに位置する「第一貯蔵庫」で貯蔵した原酒を使用。ボウモアならではのスモーキーな香りと原酒由来の潮の香りのバランスのよさが特長。

●お問い合わせ
サントリーお客様センター
TEL 0120-139-310

香港で人気の点心専門店
「添好運(ティム・ホー・ワン)」
日比谷に日本初出店

4年連続でミシュラン3ッ星を獲得したフォーシーズンズホテル香港の広東料理店「龍景軒」の点心師を務めたMac Kwai Puiシェフが、パートナーのLeung Fai Keungシェフと共に、2009年香港に創業した点心専門店「添好運」が、「日比谷シャンテ」別館にオープン。日常的な料金で本場の点心が楽しめると評判を呼んでいる。

●お問い合わせ
添好運(ティム・ホー・ワン)
東京都千代田区有楽町1-2-2
日比谷シャンテ 別館1階
11時~22時(L.O.)
TEL 03-6550-8818(予約不可)

オービカ モッツァレラバー
六本木ヒルズ店
リニューアルオープン


イタリアから週3回空輸する、水牛ミルクを100%使用したフレッシュモッツァレラチーズをメインに楽しめる「オービカ モッツァレラバー」。5月に六本木店がハリウッドビューティープラザに移転オープンし、「Pizza e Cucina」をコンセプトに、イタリア直送リコッタチーズが料理に加わった。4月には高輪店が「ウィング高輪WEST」1階にオープンしている。

●お問い合わせ
オービカ モッツァレラバー
六本木ヒルズ店
TEL 03-5786-6400
http://www.obica.jp

ヤマキ醸造
和食のための調味料
「皇帝の宴」新発売


和食の宗家、四條司家監修“和食のための調味料”「皇帝の宴 一期一会」(300ml・2,700円)が、6月1日(金)に新発売。全て国産の自然栽培による素材を使用。有機丸大豆・小麦を使い古式醸造で醸した有機JAS製品の生揚(きあ)げ醤油と、有機JASの米酢など発酵調味料を黄金比でブレンド。醤油本来の香りと旨味を味わうことができ、和食素材の味を引き立てる低塩仕立て。毎月限定2,000本の販売予定。

●お問い合わせ
ヤマキ販売部
TEL 0274-52-7070
http://yamaki-co.com

みすずコーポレーション
健康・長寿食
こうや豆腐のレシピ集


長寿日本一の長野県に本社を置く、創業110余年の大豆関連食品メーカー「みすずコーポレーション」が『こうや豆腐レシピ集』(1,404円)を刊行。鉄分、カルシウム、大豆イソフラボンが豊富で、たんぱく質の吸収効率の良い「こうや豆腐」。栄養満点、低カロリーの日本の伝統食材を手軽においしく楽しめるレシピを、煮物や揚げ物はもちろん、デザートまで81品紹介。食卓の一品として、介護食向けのアイデアとして活用できる1冊。

●お問い合わせ
みすずコーポレーション 通信販売
TEL 0120-860-719

とんかつ

とんかつ 一頭揚げ 亀かわ 巣鴨本店

肉を食べた満足感を
十二分に味わえるとんかつ

 2017年末、巣鴨のとげぬき地蔵通りに開店。鹿児島でパイン粕を入れたオリジナル飼料を与え、飼育期間を通常より二ヶ月伸ばして旨味を熟成させる「南国スイート」という豚を使用する。店名は、養豚家である亀川孝志さんの名前から付けられている。

 料理長は、赤坂で人気だった「フリッツ」の出身。とんかつ好きで、全国のとんかつ屋を食べ歩いているという。

「ロース定食」(百二十グラム千五百五十円~)は、一枚だけ断面を上にして盛られており、そのうっすらと桃色が刺した肉色に色気がある。

 自慢の豚肉は、何より脂がいい。噛めば、緩みなくしっかりとした歯ごたえながらするりと溶けていく。甘い香りとともに深いコクがある。

 一方、肉は、噛みしめる喜びを与えるきめの細やかさで、歯が肉に抱きつかれるように入っていき、肉汁が滲み出る。この食感のせいか、豚本来の優しさはあるものの凛々しさを感じる肉で、その特性を生かすよう精妙な加熱で揚げられている。

 衣は中粗で、サクサクと香ばしい。使う揚げ油は米油で、あっさりとした仕上がりだが、「肉を存分に食べた!」という満足感を十二分に味わえるとんかつである。

 ソースは甘め。キャベツはみずみずしく、お代わり自由。ご飯はもちもちして香りも高く、とても美味しい。

「一頭揚げ 亀かわ定食」二千二百円は、特撰リブロース・ロース・本日の厳選部位二種(この日はヒレとトントロ)・亀かわメンチの五種類の盛り合わせで、全体で約百八十グラムになっている。

なかでも、肉と脂の魅力を同時に堪能できる、特撰リブロースがいい。この豚肉の醍醐味が味わえる部位だろう。また、深めに揚げてコリッとした脂や肉の食感を生かしたトントロも素晴らしい。

もう少し軽めがいい場合は「三種盛 亀かわ定食」(特撰リブロース・ロース・亀かわメンチ)千六百円がおすすめ。
 
東京都豊島区巣鴨4-19-8
電話=03(6903)7029
営業時間=[平日]11時~14時半(LO)、17時~20時半(LO)[土日祝]11時~20時半(LO)
年中無休(年末年始休みあり) 
※表記価格は税込

かつ好 日本橋人形町

恵比寿で人気を呼んだ「かつ好」
日本橋人形町に復活

 一九九四年に恵比寿ガーデンプレイス開業とともに静岡から進出した「かつ好」。モダンな店内、若く元気のいい店員、とんかつの下に敷かれた網など、従来のとんかつ屋とは違う点が多く、女性客にも人気で、エポックメイキングな店だった。

 やがて名前を変えて別の店となったが、一昨年に日本橋人形町に復活。裏路地に、看板もなく古民家を改装した隠れ家のような店を構えている。

「ロースかつ」(百十グラム千四百五十円~)を注文。見ていると、実に丁寧な仕事ぶりである。

 外に出ているのは小麦粉を入れたバットだけで、注文が入ると、冷蔵庫から卵液とパン粉を出す。そして肉の塊を取り出し、切って重量を量り、叩き、筋切りをし、周囲を切り落として成形し、衣をつける。

 それを中温で揚げ、丹念に油切りをし、休ませる。しかる後、鉈のようなカツ切り包丁で切り、皿に盛られて登場する。

 肉は、噛んだ瞬間に香る甘い香りが、良質の豚肉であることを語っている。脂の溶け具合も素晴らしく、衣は粗目で、サクサクとした軽快な食感。とんかつという料理の魅力に満ちている。

 何もつけずとも十二分にうまいが、この店ならではの調味料も試したい。溶き芥子は、粉芥子を溶いたものではなく、本物の地芥子を練り上げており、爽やかな刺激がとんかつを盛り上げる。わさび醤油は、質の高い本わさびならではの香りと刺激が、豚肉の甘みを引き立てる。梅の香りが漂う梅塩も面白い。

 付け合わせのキャベツは極細に切って紫蘇を混ぜてあり、みずみずしい。

 そのほか、独特の「ヒレかつ」(百十グラム千七百円~)も香りがあって上等。また、薄く叩いた肉を二枚揚げた「かろみかつ」二千二百円も、肉は薄いながらも十二分に香りと味が伝わって、素晴らしい。

「ご飯・おつけもの」は二百五十円。ご飯は粒が立って輝いている。おつけものは胡瓜、大根、人参の浅漬け。アサリの味噌汁「汁わん」二百五十円も香り高い。

東京都中央区日本橋人形町3-4-11 
電話=03(6231)0641
営業時間=11時半~14時(LO)、17時半~20時半(LO)
定休日=日曜日 
※表記価格は税抜

とん八亭

お昼時のお値打ちな定食
常連になりたい魅力溢れる店

 創業は一九四七年と古く、今は三代目が店を守る。昼時に美味しいとんかつ定食をお値打ちな価格で提供し続け、長らく人々に愛されてきた、とんかつ発祥の地・上野らしいとんかつ屋である。誠実なご夫婦二人で営まれる清潔な店内は、常連で賑わい、客の愛着がしみた、新しい店には醸し出せない空気が漂っている。

 堂々たる厚さで肉の旨味を誇る「ロースかつ定食」千八百円も素晴らしいが、「かつライス」九百円がいい。この庶民的な値段の中には、安くとも美味しいものを食べてもらおうという心意気が詰まっている。

「ロースかつ定食」の重さを変えただけだという「かつライス」の肉は、十分に肉汁を含んでしっとりとし、脂の溶け具合の軽さもいい。低温でじっくりと揚げるかつの衣は色が薄く、油切れがいい。肉と衣の一体感があって「とんかつを食べているぞ!」という熱気を高めてくれる。

 ソースは甘めである。キャベツは極細切りで上等。ご飯も甘くて炊き具合よく、大根、白菜、人参、胡瓜による新香も質が高い。鰹節と豚肉で出汁を取り、豆腐と三つ葉が入れられた味噌汁も美味しい。

 肉に香りがあって魅了する「ヒレかつ定食」二千百円もおすすめ。

「常連になりたい」と思わせる、魅力溢れる店である。

東京都台東区上野4-3-4 
電話=03(3831)4209
営業時間=11時半~14時半(売り切れ次第終了)
定休日=月曜日(祝日の場合は翌日・臨時休業あり)
※表記価格は税込

中西 悠

「子供地球基金」理事

アクイロット
待望のトラットリア 日吉にあらわる

 大好きな仲良し家族の住む日吉に、待望の本格トラットリアがオープンした。店の名前は「アクイロット」、イタリア語で鷲のヒナという意味らしい。仲良し家族曰く、工藤シェフは独立以前から料理人として凄腕、しかも男前で有名だったとか。

 学生さんの行き交う穏やかな商店街の先にあるレストランまで、日吉駅から徒歩三分。まるでイタリアの田舎に来たようなセンスの効いた「アクイロット」は突如目の前にあらわる。地下の酒蔵、隠れ家とも言える雰囲気を醸し出す外観や内装に、誰もが中を覗きたくなるだろう。

 季節は春を迎え、肉厚な天然鰆のカルパッチョ、フランス産ホワイトアスパラガス、つぶ貝のマリネと春野菜など、メニューはすっかり華やいでいた。ホワイトアスパラガスは、半熟温泉卵とゴルゴンゾーラソースでいただく温かい前菜。自家製のパンをちぎって皿に余ったゴルゴンゾーラソースを惜しみなくすくって平らげた。

 仲良し家族はこの店の常連なだけに、定番のカルボナーラを勧めてくれた。濃厚でありながらあっさりとしたソースにパスタがよく絡み、フォークが止まらず心がウキウキする。お代わりしたいぐらい気に入ったのは、ピリッとした辛さと苦みが特徴のハーブ、ルーコラとセルバチコのサラダ。ドレッシングは強めの大人な酸味。白ワインによく合う。

 パスタ好きな我々は、ニンニクの程よく利いた生桜海老のペペロンチーノもあっという間に平らげて、肉料理に走りだした。宮崎和牛フィレ肉のビステッカと迷ったあげく、黒毛和牛すね肉の赤ワイン煮を注文。時間をかけて煮込まれたすね肉の、コラーゲンがゼラチン化した食感を存分に楽しみ、赤ワインと最高の相性でトロトロと口の中で溶けてゆく。

 気に入ったワインボトルを持ち込みたい場合は、持ち込み料を支払えばOKである。とは言え、「アクイロット」自慢のワインセラーには気軽に飲めるものから、特別な一本までしっかりと揃っているらしい。親切で気さくに話しかけてくれるソムリエやシェフが、我ら食いしん坊の味方となっていろいろ教えてくれるので、頼ってしまえばいい。

 日吉にあらわれた本格トラットリア、この夏も心躍る一軒である。

神奈川県横浜市港北区日吉本町1-4-14 グレストビル1階
TEL 045(534)7714

2018年5月号 情報区

第94回“東をどり” 新ばし芸者衆の踊りと 料亭文化に浸る4日間

 
 「東京吉兆」の献立で「新喜楽」「金田中」「米村」「松山」の5料亭ごとに調理される「味を競う陶箱 松花堂」6,000円、「Wanofu」などによる「料亭の鮨折」2,000円(共に要予約)。また、土日の壱の席限定で、幕間に「金田中」からお膳が桟敷席に届く「東をどり桟敷膳」22,000円(特別鑑賞券付)も発売される。
【会場】新橋演舞場
【日時】5月24日(木)~27日(日)
■24日(木)・25日(金)二回公演 
昼の席(12時半開場)
夕の席(15時20分開場)
■26日(土)・27日(日)三回公演
壱の席(11時開場)
弐の席(13時10分開場)
参の席(15時20分開場)
【金額】二階正面席・同右席:6,000円、一階席:7,500円ほか
【チケットお申し込み】
チケットホン松竹 ??0570-000-489

 
●お問い合わせ
東京新橋組合
TEL 03-3571-0012(平日10時~16時)
http://www.azuma-odori.net/

キユーピー 小学校への出前授業 「マヨネーズ教室」

 キユーピーが2002年より開催し、食育活動として食の楽しさと大切さを伝えている「マヨネーズ教室」。社内認定制度の資格を持つ「マヨスター」(213人)、推進役の「シニア マヨスター」(40人)が全国の小学校に赴き、児童とともにマヨネーズを手作りする。また、レタスの外葉や芯など、食品に加工できない部位で布を染めて作った「野菜染めエプロン」を講師が着用して、食を取り巻く環境課題への取り組みを伝える。2017年度は延べ328校、15,017人の小学生が出前授業を体験した。

 
●お問い合わせ
キユーピー
https://www.kewpie.co.jp/

湖池屋 スコーン新商品発売 「濃いとうもろこし味」


 
 1987年の発売から30年以上の歴史を重ねる、湖池屋を代表するコーンスナック「スコーン」。同シリーズから「濃いとうもろこし味」(オープン価格)が発売された。原材料である“とうもろこし”の甘さを強調した新商品。とうもろこし素材の生地に北海道産のスーパースイートコーンパウダーを加え、茹であげたとうもろこしに軽く塩をふりかけたような新たな味わいに仕上がっている。

 
●お問い合わせ
湖池屋 お客様センター
TEL 0120-941-751(月~金9時~17時)
https://koikeya.co.jp

サントリー 「登美」ブランドから 長期熟成ワイン登場

 
 自家ぶどう園のなかでも最高品質のぶどうだけを使用し、つくり手の技と情熱が結実した、サントリー“日本ワイン”のフラッグシップブランド「登美」より、「登美 レゼルヴスペシャル 2005」(オープン価格)を全国で数量限定新発売。特に天候に恵まれた優良年のみにつくられる限定品。口当たりは柔らかく、心地よい酸味とともに、チョコレートのような甘い香りが余韻として長く続く逸品に仕上がっている。

 
●お問い合わせ
サントリーワインインターナショナル
TEL 0120-139-380

日本橋 てん茂 座敷をリニューアル 椅子席でゆったりと


 
 1885年創業、江戸前天麩羅の店「てん茂」。四代目主人・奥田秀助さんが江戸東京野菜を積極的に取り入れながら、白胡麻油で揚げた江戸前の味を守り続けている。
 伝統的な日本家屋の佇まいの同店。飴色に輝く趣あるカウンター席(9席)はそのままに、このほど奥の座敷がリニューアル。椅子席(8席)が用意され、どなたにも利用しやすくなった。これからの時季は鮑や稚鮎、秋は栗渋皮揚げなど、季節毎に訪れたい。

 
●お問い合わせ・ご予約
てん茂
TEL 03-3241-7035

中川政七商店 テラスモール湘南店 オープン

 
 1716年創業の「中川政七商店」。日本の工芸をベースにした生活雑貨店として人気を博している同ブランドの32店舗目となる湘南店が、JR辻堂駅と直結する商業施設「テラスモール湘南」内にオープン。老舗ならではの温故知新の思いを根底に品質を大切にし、家・生活に根ざした機能的で美しい「暮らしの道具」の数々を取り揃えている。

 
●お問い合わせ
中川政七商店 テラスモール湘南店
神奈川県藤沢市辻堂神台1-3-1
テラスモール湘南1F
営業時間:10時~21時
TEL 0466-54-7668

坂東市の銘酒「秀緑」
市内産米により
香り華やかに復活

 
 銘酒として知られた「秀緑」の酒蔵「大塚酒造」(茨城県坂東市)が、惜しまれつつ廃業したのは2011年のこと。その後、酒蔵を市が買い取り観光交流センターとして再生。同センターが「秀緑」復活を望む声に応えた。旧酒蔵と同じ酵母と、坂東市産「美山錦」を酒米に使い、「来福酒造」(茨城県筑西市)で仕込まれ、フルーティーで香り華やかな日本酒となって復活した。「秀緑 純米吟醸」(720ml:1,544円、1升:3,089円)。

 
●お問い合わせ
坂東市観光交流センター
TEL 0297-35-0002

加来耕三氏新刊
『利休と戦国武将』
十五人の“利休七哲”

 
 加来耕三氏が「利休と戦国武将」(淡交社刊:1,404円)を上梓した。“茶聖”千利休に直接茶の湯の手ほどきを受けた高弟“利休七哲”。“七哲”と称されながら時代によってその7人が入れ替わった人々─蒲生氏郷、細川三斎、高山右近、前田利長、瀬田掃部、豊臣秀次、木村常陸介、荒木村重、芝山監物、織田常真、牧村兵部、佐久間不干斎、古田織部、織田有楽、有馬玄蕃。15人の武将たちの人生を辿りながら、茶の湯を求めた姿を描く。

 
●お問い合わせ
淡交社
TEL 03-5269-1691

2018年5月号


◆茂木友三郎対談◆

岩沙 弘道

三井不動産(株)代表取締役会長

◆とーやまの昼膳放談◆

タニノクロウ

「庭劇団ペニノ」主宰
◆味の見聞録◆

汁なし担々麺
今、東京では汁なし担々麺熱が加熱している。従来の四川料理店だけではなく、汁なし担々麺の専門店が、次々と出てきているのである。今回は料理店と専門店、両方から角度を当てて紹介する。

目次

茂木友三郎対談
岩沙 弘道(三井不動産(株)代表取締役会長)
「スマートシティ『経年優化』の街づくりをめざす」

 
日々是好日なり
文・南美希子(エッセイスト・コメンテーター)
第161回「思い出の地インドネシア」

 
食のタイムトラベル
文・加来耕三(歴史家・作家)
第80回「福沢諭吉と味噌仕立ての牛鍋」

 
草を喰む
文・中東久雄(「草喰なかひがし」主人)
第49回「鯉の季節」

 
はんなりと京菓子
文・山口祥二(「京菓子司 末富」代表取締役社長)
第26回「端午の節句」

 
悪食三昧
文・樫井雄介
第194回「突如おきた香港食文化圏」

 
味のパトロール
文・長 直子(全日本空輸株式会社 客室乗務員)
東京・白金「Ordi-verre」

 

とーやまの昼膳放談(新連載)
ゲスト:タニノクロウ(「庭劇団ペニノ」主宰)

 
美味良宴
文・マッキー牧元
其の二百三十三「『パリ最新美食探検隊』が行く(4)」

 
味の見聞録
第256回「汁なし担々麺」

 
おいしい!には訳がある
文・宮川順子(MIIKU(社)日本味育協会代表)
第29回「大福餅の原材料は、小豆? あん?」

 
地味自賛
文・伴在 賢時郎(長野日報社特別編集委員)
第330回「ワカサギはたおやかで繊細」

 
台所と食卓の名脇役(新連載)
文・細萱 久美(元(株)中川政七商店バイヤー)
第1回「しぼり出し急須」

 
おいしいひとり旅
文・山崎まゆみ(温泉エッセイスト/ノンフィクションライター)
第14回「湯アタリと蕎麦」

 
口福の造り手を訪ねて
文/写真・猪口由美(『セコムの食』商品バイヤー)
第146回「おうちで揚げない海老カツレツ」

 
これをあげたい!
文・八木 透(佛教大学歴史学部教授・NPO法人和の学校講師)
第122回「京のちりめん山椒」

 
タネもシカケもある話
文・森田敦子((株)サンルイ・インターナッショナル代表/植物療法士)
第74回「フランスの植物学」

 
ドクターの天眼鏡
文・石田浩之(医学博士)
第122回「ボンカレーにみるモノ作り」

 
ソムリエの呟き
文・渋谷康弘(ソムリエ)
第175回「白ワインの基本『シャブリ』を飲み尽す!」

 
ハイ!!チーズ
文・皆見敦子(栄養士/チーズシュバリエ)
第68回「愛情チーズ」

 
コーヒーを巡る人々
文・門上武司((株)ジオード代表取締役/フードコラムニスト)
第33回「コーヒーはめぐる」

 
共感する食のフィロソフィー
文・小山 進(「パティシエ エス コヤマ」オーナーシェフ)
第49回「シェフとソムリエの二刀流 ワインから始まるものづくり」

 
ジパング式素材交遊録
文・マッキー牧元(タベアルキスト)
第281回「古の中国宮廷料理を味わうの巻」

 
さらり日記
文・遠山正道((株)スマイルズ代表取締役社長)
第257回「てゆうか右」

 
〈シドニー発〉麻子ママ奮戦記
文・中宮麻子
第197回「シドニーの日本食」

 
キャビンアテンダント私のお気に入り
文/写真・峰岸麻里(日本航空客室乗務員)
第302回「ヨコハマニア 未来に残したい横浜の名店」

 
ケ・セ・ラ・さ・ら
文・都築理沙
第170回「豚肉の梅みぞれ煮」

 
名店会ファイル
第239回「赤坂浅田」

 
ひと皿のことの葉
文・上條宏昌(小誌編集部)
第86回「賄い」