特集リスト

札幌・函館のイタリアン

セミーナ

北イタリアの郷土料理を中心に
北海道の食材が揃う

 同じ場所にあった人気店「サグラ」の田中寿史シェフが、居抜きで開店。壁には道内48の生産者を記した黒板が掲げられている。4月のある日のコースより。

「ホタテとあずき菜 発酵レモン」。ホタテのミネラルとレモンの酸味が手を結ぶ。

「本マスのスモーク桜のチップ、ファットリアビオ北海道のデイル入りリコッタチーズ、貝の汁でゆでた菜花」。菜花の味が濃いこと。甘みだけでなく強い旨みが奥底にあり、本マスの味を膨らます。

「北島農場の豚のプロシュート・コットと春紅玉に山わさび、天然クレソン」。リンゴの柔らかい甘みとハムの塩気、山わさびの刺激が見事に重なり合う。

「無農薬全粒粉の自家製フォカッチャ」。噛めば歯を押し返す弾力があって、小麦の甘い香りと焦げ香が漂い、飲み込む時にふわりと鼻に抜けていく。いつまでも噛んでいたい滋味がある。

「白アスパラとグリーンアスパラのグリル、スクランブルエッグ、北島農場のピートスモークのベーコン」。アスパラ、卵、ベーコン、3者の甘みと香りが出合う喜び。

「余市の一年ムール貝と松前の海苔のパスタ」の次は「オホーツクの流氷明け毛ガニと新ひだか町の木の芽のリゾット」。毛ガニの甘みと木の芽の爽やかな刺激香が、美くし抱き合う。

「北島農場の豚のアロスト」。豚の甘い香り、脂の溶け具合とコクが素晴らしい。

「四種のキノコのタヤリン」。極細タヤリンに、キノコの香りがまとわりついてなんともうまい。最後のドルチェは「パンナコッタとイチゴだけのジェラート」。

豊かな北海道の地で、薬を与えず健やかに育った野菜と海の生物、陸の生物を生かしたい。そんな田中シェフの哲学を実直に表現した料理は、精神を安寧へと導く。

●セミーナ 
北海道札幌市中央区南1条西8丁目20-1 ライオンズMS大通公園 小六ビル1階
電話=011(219)4649
営業時間=12時~13時(L.O.)、17時半~24時(L.O.)
※土日祝のランチは13時半(L.O.)
不定休/dd>

コルツ

希少な道産ワインと
多彩な料理とのマリアージュ

 函館出身の佐藤雄也シェフによる、地元の産物を生かした、丁寧な仕事が光る数々の料理が魅力。4月のある日のコースより。

「ヤギのチーズと黒にんにくの焼き菓子」「新玉ねぎの冷たいスープと生うに」に続いて「カルパッチョ」。脂が乗ったイシガレイ、身質がしっかりとしたクロソイ、ニシン、ババガレイ、マコガレイに、セミドライ大根、わさびドレッシングが合う。

 次は前菜。「白樺樹液」「豚スネ肉、山葡萄ソース」「蓴菜ピクルス」「大沼のエビのバルサミコとカラメルの佃煮」「しどけの無濾過菜種油とごま和え」「パテ・ド・カンパーニュ、紫玉ねぎ甘酢漬」「浅葱とマスカルポーネ、山わさびとホッキ貝の和え物」「燻製鯨の豆腐とサワークリームペースト挟み、焼きなすソース」「熊肉のリエット、栗粉で作ったケークサレ」「王様しいたけの子供、椎茸パウダーで作ったチャルダ」など、実に楽しい盛り合わせ。

「バッカラ・マンテカート」。干しダラを煮てペースト状にしたものに、細かく切った胃袋も混ぜてあり、食感が面白い。

「ジャガイモとマスカルポーネのムース、鶉の卵黄、十勝マッシュルームのスライス」。ジャガイモ、マスカルポーネ、鶉の卵黄の淡い甘みに酔っていると、後からマッシュルームの香りが漂う。素晴らしい!

「岩海苔を巻いたホタテのソテー」「枝豆のラヴィオリ」の次は「蝦夷鮑、鮑の煮汁と百合根のソース」。蒸し煮した蝦夷鮑に歯を入れると、海の滋養が溢れ出し、そこに百合根の上品な甘みが流れ込む。

「キンキの若布ソース」「ジビーフのしんたま」「あずき菜とマスのスパゲッティ」と続き、ドルチェ2皿でコースが終了。

希少な道産ワインが数多くあり、ぜひ料理とのマリアージュを楽しみたい。

●コルツ 
北海道函館市本町4-10
電話=0138(55)5000
営業時間=12時~13時半(L.O.)、18時~21時半(L.O.) 
定休日=月曜日・日曜日のディナー

2019年6月号

◆茂木友三郎対談◆

竹内 誠

江戸東京博物館名誉館長・徳川林政史研究所所長

◆万由美の昼膳交遊録◆

別所 哲也

俳優・ショートショート フィルムフェスティバル & アジア代表
◆味の見聞録◆

札幌・函館のイタリアン
都会を意識することなく、地元の食材と向き合い、愛し、昇華させた料理と素晴らしきワインをつなげている、札幌と函館のイタリア料理店をご紹介。

目次

茂木友三郎対談
竹内 誠(江戸東京博物館名誉館長・徳川林政史研究所所長)
「1冊の本に導かれ歴史学者の道へ 江戸の町と相撲の研究、未だ道半ば」

日々是好日なり
文・南 美希子(エッセイスト・コメンテーター)
第174回「最強の主治医」

食のタイムトラベル
文・加来 耕三(歴史家・作家)
第93回「叡山再興を志した、名僧・明庵栄西とお茶」

草を喰む
文・中東 久雄(「草喰なかひがし」主人)
第62回「高貴な芳しい梅」

はんなりと京菓子
文・山口 祥二(「京菓子司 末富」代表取締役社長)
第39回「沢辺の蛍」

味のパトロール
文・フクナガコウジ(グラフィックデザイナー)
京都・聖護院東町「屯風」

万由美の昼膳交遊録
ゲスト:別所 哲也(俳優・ショートショート フィルムフェスティバル & アジア代表)

共感する食のフィロソフィー
文・小山 進(「パティシエ エス コヤマ」オーナーシェフ)
第62回「この若さにして超一流 〝植田将道〟の世界観(前編)」

名店会ファイル
第252回「ラ・ブリアンツァ」

美味良宴
文・マッキー牧元
其の二百四十六「北イタリア満腹ツアー モデナのレストラン(後編)」

キャビンアテンダント私のお気に入り
文/写真・柳 美鈴(日本エアコミューター客室乗務員)
第315回「奄美に伝わる母(あんま)の味 島料理の店『なつかしゃ家』」

味の見聞録
第269回「札幌・函館のイタリアン」

おいしい!には訳がある
文・宮川 順子(MIIKU(社)日本味育協会代表)
第42回「パスタの茹で汁、塩分濃度は1%!?」

ふるさとの味、おふくろの味
文・佐藤 烈(長崎新聞社取締役総務局長)
第343回「食べられなくなってしまったスープメン」

台所と食卓の名脇役(新連載)
文・細萱 久美(元(株)中川政七商店バイヤー)
第14回「野田琺瑯のホワイトシリーズ」

おいしいひとり旅
文・山崎 まゆみ(温泉エッセイスト/ノンフィクションライター)
第27回「火傷が治るの巻 福島県高湯温泉『玉子湯』」

一期一食
文・横川正紀(ディーン&デルーカ 代表)
第3回「赤と白の間」

これをあげたい!
文・唐長 SEIJI(誠次)(『唐長』12代目 ・NPO法人和の学校講師)
第135回「生産者、〇〇さんの顔がわかるチョコレート」

タネもシカケもある話
文・森田 敦子((株)サンルイ・インターナッショナル代表/植物療法士)
第87回「祈りと神様の島」

ドクターの天眼鏡
文・石田 浩之(医学博士)
第135回「海と娘とウォークマン」

ソムリエの呟き
文・渋谷 康弘(ソムリエ)
第188回「ビジネスに役立つワインの知識─オーガニックワイン編─」

ハイ!!チーズ
文・皆見 敦子(栄養士/チーズシュバリエ)
第81回「山羊乳のチーズ『茶臼岳』」

コーヒーを巡る人々
文・門上 武司((株)ジオード代表取締役/フードコラムニスト)
第46回「コーヒー&ショコラ」

ジパング式素材交遊録
文・マッキー牧元(タベアルキスト)
第294回「昭和・平成を駆け抜けた2人のマダムの巻」

さらり日記
文・遠山 正道((株)スマイルズ代表取締役社長)
第270回「あたった湯」

百年つづけ(新連載)
文・伊藤章良(食随筆家)
第1回「湖畔に建つ地産地消料理店」

ケ・セ・ラ・さ・ら
文・畠山優子
第183回「アボカドと湯葉のサラダ」

〈シドニー発〉麻子ママ奮戦記
文・中宮 麻子
第210回「マイトシップ」

ひと皿のことの葉
文・上條 宏昌(小誌編集部)
第99回「ムラサキ」

悪食三昧
文・樫井 雄介
第207回「サンセバスチャン」

フクナガコウジ

グラフィックデザイナー

屯風
強い台風の去っていった夜に

 西武国分寺線・鷹の台駅前にある『小出畜産』は、すぐに食べる場合に限り惣菜類に希望の調味料をかけてくれる店で、「チキンカツ」にオーロラソースというのが僕の定番だった。

 と、ある日、「おばちゃん! チキンカツ、塩コショウで!」と疾風(はやて)のように少年が現れた。それ以来、新潟の『とんかつ太郎』に出合うまで、執拗に「フライには塩コショウだ!」と拘泥(こうでい)していたことを塩コショウを見るたびに思い出す(横浜・野毛にある中華料理屋『萬里(ばんり)』のハード・ボイルドならぬハード・フライドな「肉揚げ団子」を注文するときはとくに。ちなみに、『萬里』は小皿メニューが充実しているので、タレと両方を注文するという手もあるが、最近は塩コショウ一択だ。ほかに「とりそば」や「焼餃子」、八角の香りが効いた「蒸し肉」もうまい)。

 塩コショウといえば、2011年に初めて訪れた、京都・百万遍を北にちょっと上ったビルの3階にあった小さな居酒屋を思い出す(その後、聖護院東町に移転)。売り切れでない限り、行けば必ず食べる「天然ぶりのカマ焼き」は、塩と強めに振った粗挽き黒コショウで味付けされ、その味はオーソドックスでありながらも、他の塩コショウ使いとは一線を画すアヴァンギャルドな美味しさなのである。

 ほかにも、店主・とんぺいさんのアイデア溢れる〝男子料理〟が沢山ある。醤油らしきもの3種と胡麻油、柚子七味をかけた「あげ豆腐」や、揚げ玉を散りばめた「マグロのヅケ丼」、いわゆる京都の澄んだ出汁ではない褐色の出汁が染み染みの種に八丁味噌をつけて食べる看板メニューの「おでん」(「自家製つみれ」「玉子」「大根」「玉ねぎまるまる」が好き)など、どれも普通のようで普通ではないキッチュで堂々とした味に頬が落ちる。

 そして、落語家でもあるとんぺいさんならではのネーミング「コンコンステーキ」や、丁寧に盛られたお造り、それらを、奄美のラム酒「ルリカケス」と彼の鼻歌とともに頬を緩ませながらゆっくりと味わう。

 一乗寺・曼殊院道の金色に輝く夕日と、とんぺいさんから京都の魅力を教えてもらった8年前の秋。今でも僕はその味のある街とそこに暮らす人々に夢中だ。

 先にも後にもないワクワクをくれる〝とんぺい節〟。年中春夏冬(あきない)、いつまでも京都で一番イケてる味。

京都市左京区聖護院東町1-2
TEL 075(751)5240

茂木友三郎対談


『江戸東京博物館』設立の構想時から携わり、1998年から3代目館長を18年間務め、現在は名誉館長、『徳川林政史研究所』所長も務められている竹内 誠さん。
希望する大学に入れず、挫折感にさいなまれていた浪人時代、自身の進むべき道を切り拓くことになる1冊の歴史本『田沼時代』と出合う。
その後、独自の視点から寛政改革の全貌を明らかにしたり、江戸の町の研究を進める傍ら、好きが高じて『相撲教習所』の講師も務める。
「研究から得られる醍醐味がたまらない」と、歴史学に没頭する日々を楽しまれている。

竹内 誠(江戸東京博物館名誉館長・徳川林政史研究所所長)
1冊の本に導かれ歴史学者の道へ 江戸の町と相撲の研究、未だ道半ば

茂木
ようこそお越しくださいました。

竹内
お招きいただきまして、ありがとうございます。

茂木
竹内さんは私と同じ上野高校のご出身で、1年先輩になるのですね。

竹内
そうですね。私は1933年生まれで、今ちょうど85歳です。

茂木
当時のお住まいはどちらでしたか。

竹内
下町の人形町に住んでいました。戦争が終わった翌年、1946年4月に旧制上野中学に入学して、水天宮から都電に乗って上野の学校に通っていました。上野駅前には、地下鉄に乗るための地下道がありましたが、地下道には戦災で焼け出された人たちが大勢寝起きしていて、その中を毎日通っていました。上野駅から広小路一帯には、通常のルートでは手に入らないようなものを売る闇市があって、たくさんの人が集まっていたことを覚えています。

茂木
あの頃はまだ上野公園の中に焼け出された人たちの住宅がありましたね。

竹内
終戦直後で治安も乱れていて、上野には、日本の矛盾が凝縮しているような、戦後の縮図がありました。その中を6年間通ったことは、私の人生において大きな意味を持っていると思います。

茂木
おっしゃる通り、それは大変な経験をされたと思いますよ。

竹内
私はなるべくものを捨てずに取っておく性分で、書斎が「ごみ部屋」のようになっているのですが(笑)、『江戸東京博物館』(墨田区横網)の館長をしていた時、偶然、学生時代の毎月の定期券が残っているのを見つけたのです。職場でその話をしたら、それは貴重品だということで、東京都交通局の展覧会を開催した折に、「館長が持っていたあれを出しましょう」と言われて、出陳しました。高校の時に付けていた校章バッジなども取ってあるのですよ。

茂木
70年も前のものを今も取ってあるというのは、すごいですね。

竹内
1949年でしたか、戦争で傷ついた子どもたちの心を癒そうということで、タイから上野動物園にゾウの「はな子」さんが贈られてきたでしょう。その頃は、学校と動物園との間に簡単な柵はありましたが、すき間から自由に行き来できたので、動物園の中を通ってよく帰校しました。猛獣は戦争中に殺されてしまったので、危険性はないということで動物園も開放的だったのでしょうね。

茂木
私が1950年に新制高校に入った時は、動物園には入れてもらえませんでしたが、野球をしていてボールが園内に入ると、中へ取りに行っていましたよ(笑)。

竹内
隣り合わせですから、動物の鳴き声が授業中に聞こえることもありました(笑)。

茂木
人形町の辺りは焼けなかったのですか。

竹内
幸運にも私の家の一画だけは焼けなかったのです。

両親はともに長野県人で、私は縁故疎開で千曲(ちくま)市に行っていたので、1945年3月10日の大空襲の時は東京にいませんでした。空襲の時、実家の周辺の人たちはみんな明治座に避難することになっていたのですが、偶然にも、あの時はその途中から火の手が上がって明治座へ行くことができなくなったので、私の家族は止むを得ず逆の方向にある小学校へ逃げた。それで助かったのです。

茂木
明治座は焼けてしまいましたね。

竹内
明治座では犠牲者が大勢出ました。そこへ避難していたら、私の家族も助からなかったかもしれません。

2019年6月号 情報区

銀座『FARO(ファロ)』
ヴィーガンランチで
体の中から美しく

昨秋リニューアルした、東京銀座資生堂ビル10階『FARO』。能田耕太郎シェフと加藤峰子シェフパティシエによる、イタリアンをベースにしたオリジナリティあふれる料理とデザートを提供。“体の中から美しく”をテーマに、肉・卵・乳製品などの動物由来の食品全般を避けた、約12皿の前菜から始まる満足感の高いヴィーガン仕様のコースも登場し、好評を博している。ランチタイムは、光が降り注ぐ空間が心地よい。
「ヴィーガンランチコース」は8,000円。「ランチコース」は10,000円。「ディナーコース」は20,000円。前日までの予約でディナーでも「ヴィーガンコース」12,000円を楽しめる。別途サービス料10%。
●お問い合わせ・ご予約
FARO
Tel ?0120-862-150
https://faro.shiseido.co.jp

キユーピー
笑顔を届ける音楽会
東京エリアから開始

創業100周年を記念し、「キユーピー 笑顔を届ける音楽会」を開催。プロの演奏家によって編成されたミニオーケストラが、全国各10ヵ所の幼稚園・保育園と介護施設を巡る無料イベント。クラシックや童謡、「キユーピー3分クッキング」のテーマ曲“おもちゃの兵隊のマーチ”など、世代に合わせた楽曲を演奏。6月までは東京・中部・九州エリア、7~8月は北海道・東北・関西エリア、9~10月は関東・甲信越・中国・四国エリアで開催される(応募は終了)。
●お問い合わせ
キユーピー お客様相談室
Tel 0120-14-1122

DEAN&DELUCA
東京音楽大学の
学食をプロデュース

『DEAN&DELUCA』が、今春開校した東京音楽大学の中目黒・代官山キャンパス「TCM学生と街のレストラン」(学食)をプロデュース。地域の新しいコミュニティの場として『DEAN & DELUCA CAFE』を同時オープンした。屋上では無農薬野菜を栽培し養蜂業も手がける『Ome Farm』(青梅市)の管理・運営のもと、養蜂を行い、周辺に咲く花々から集めた非加熱はちみつを使って、『DEAN & DELUCA CAFE』にて限定メニューも展開する。
●お問い合わせ
http://www.deandeluca.co.jp

サントリーウエルネス
植物のチカラで
“ぐっすり”をサポート

サントリーウエルネスが、「ぐっすりブレンド茶 グッドナイト」(1.5g×30包入3,888円)を通信販売にて新発売。選び抜いた8つの植物、レモンバーム・ジャーマンカモミール・チャボトケイソウ・バレリアン・ルイボス・桑の葉・ハトムギ・大麦を配合。心を落ち着かせ“ぐっすり”をサポートしてくれる。お申し込みはフリーダイヤル又はインターネットから。
●お問い合わせ・お申し込み
サントリーウエルネスお客様センター Tel 0120-333-310(9時~20時)
http://suntory.jp/GOODNIGHT/

ニシカワパン
月額定額で毎日楽しむ
焼きたてパン

1947年兵庫県加古川市に創業以来70年余、レンガの釜の薪で焼いたパンを提供してきた『ニシカワ食品』。この4月、直営店の加古川駅前店では1日1回、対象の焼きたてパン(「食パン」「バゲット」などいずれか1つ)を持ち帰れる「ニシカワパンPASSPORT」(月額3,240円)を試験展開した。販売動向やニーズのデータを収集し、今後の正式サービス展開へ結び付けていきたいとしている。
●お問い合わせ
ニシカワパン
Tel 0120-24-1114

手塚 雅彦

放送作家

ナノハナ麻布十番
洗練と日常が共存する
麻布十番のオアシス

 麻布十番の商店街から、一本裏手。和食の名店も店を構えるこの通りに、目的の店がある。

 夜8時、日中は和菓子屋として賑わう店が、 バーへと姿を変える時間。窓から通りへと溢れる明かりが、通行人の足元を照らす。店の前には、主張しない手書きの看板が一枚。その奥ゆかしさに誘われて、ついついガラス戸を開けてしまう。

 古民家がリノベーションされた店内は、コンクリート打ちっ放しの一枚カウンターと小さなテーブル席が2つ。狭すぎず、広すぎず、自分の隠れ家とするにはうってつけの空間だ。

 店を切り盛りするのは、九州男児のオーナーと小気味良い女性スタッフたち。客に合わせ緩急をつけながら会話のテンポを作る様が、店の選手層の厚さを伺わせる。一方で、手元は常にテキパキと。客の知らぬ間に、色々なものが整えられていく。その居心地のよさに、ついつい甘えてしまう。

 カウンターに座ると、おしぼりと共に出されるチャームにまず驚くことだろう。素焼きのミックスナッツにまぶされた、鼻腔を刺激する香り高いトリュフ塩。このチャームの香りが、この店の始まりのチャイムを鳴らすのだ。

 泡が昇るシャンパンから始めるのも良し、日本酒でも、ワインでも焼酎でも、その日の気分に合わせて好きな一杯から味わうと良い。どれもが明瞭会計、安心していっぱい楽しめる。

 おすすめを挙げるとするならば、ハイボール。スコッチウイスキーの名門「バランタイン」を使い、強め炭酸で作り上げられた一杯。ウイスキーの香りの濃さが絶妙なバランスを見せ、薄はりグラスの口当たりの良さも相まって、何杯飲んでも爽やかさを感じさせてくれる。そして最近注目なのが、塩レモン。ジンもしくはウォッカに炭酸、そして塩とレモンというシンプルなレシピ。しかし侮ることなかれ。門外不出のオーナーの塩加減で、リピーターが続出する一品となっている。

 ちょっと自分にご褒美をあげたい日には、店特製のキャビ玉を。白く艶やかなゆで卵が2つにカットされると、垂れるか否かの瀬戸際を見せる絶妙に火入れされた黄身が現れる。そこにオーナー厳選のキャビアをたっぷりと。ケチなことは言わない、九州男児は行動で見せるのだ。一口頬張れば、口の中でキャビアの塩味と黄身のコクが一体化し、至福な味へと変化していく。

 ここは、一見だろうとなかろうと、たどり着く者たちを無条件で「お帰り」と迎えてくれる場所。まさに都会に現れる、オアシス。

東京都港区麻布十番2-8-1 1階・2階
TEL 03(3454)7225

高知のイタリアン

オンベリーコ

自家製ハムやソーセージ
丁寧な作りが光る逸品揃い

 メニューにはハムやソーセージ、カプレーゼ、カルボナーラなど、おなじみの料理名が並ぶ。「ハム・ソーセージ類は何がありますか?」とシェフに聞くと、「今日は3種類のサルシッチャがあります。『土佐あかうし』の首、鹿肉、『土佐はちきん地鶏』の腿と胸で作ってます。あとは、モルタデッラ、ソプレッサータ、これも自家製です」

 手間のかかる仕込みをしている。前菜は、その自家製ハム・ソーセージ類がおすすめ。豚の挽肉と脂などによる「モルタデッラ」は、余計な旨味がない自然な味で、どこまでも優しく、豚の頭、耳、舌などによる「ソプレッサータ」は、コラーゲンの甘みに富んでいて素晴らしい。豚腿と土佐はちきん地鶏のレバーによる「パテ・ド・カンパーニュ」も、丁寧な作りが光っている。

 そのほか「サルシッチャ」は、旨味が弾ける赤牛首、後から鉄分が湧き上がる鹿肉、鶏の香りに満ちた胸や腿肉によるものなど、三者三様の個性があり、実に楽しい。

「インサラータ・カテリーナ」は、羊のチーズ、自家製塩漬けアンチョビ、ケイパー、トマト、葉っぱ類、ゆで卵によるサラダで、アンチョビの深い旨味が利いている。

「トリッパの煮込み」は、仔牛の胃を使い、ミントを利かせたローマ風。「土佐はちきん地鶏のアロスト(ロースト)」は、よく運動した鶏ならではの滋味に富んでいる。

 パスタは3種を。「トマトソース」は、徳谷トマトの甘みと酸味が生きていて、赤牛の逞しさと豚肉の優しさが抱き合った「ボロネーゼ」は、旨味が穏やかで丸い。さらに「カルボナーラ」は、パンチェッタの優しい塩気とチーズの旨味、卵の甘みが一体化した見事な味わい。

「イタリアンは和食やフレンチに比べると手間暇がかからないと思われてますが、実は時間がすごくかかる料理なんですよ」とシェフ。その顔は妙に嬉しそうであった。

●オンベリーコ 
高知県土佐郡土佐町田井1353-2
電話=0887(72)9186
営業時間=11時~14時、18時~21時 
定休日=水曜ディナー・木曜 
※ディナーは要予約

レストラン ティラ

厳選した高知県産食材を使った
静かに丸く心を包む料理

 エーゲ海のサントリーニ島に建つホテルをそのままにイメージした、白壁と青い屋根の「リゾートホテル ヴィラ サントリーニ」内のレストラン。若き井原尚徳シェフの手による、厳選した高知県産の食材を使った、静かに丸く心を包む料理がいただける。ある日のディナーは以下の通り。

「高知産インカのめざめを使ったびっくりトリュフ」に続き、 「カツオのタリアータ」。黒にんにくとお米のソース、土佐酢の泡、塩と四万十海苔、春野町キャビア、フェンネルやディルなど数種類の野菜のガスパチョ添え。3日間かけて漉したガスパチョの澄んだ味が良く、カツオとマリアージュさせれば、海と山の共鳴が響く。

「フォアグラのブディーノ(フラン)、コンソメと蕪のすりながし」。蕪の生き生きとした甘みと香りが、フォアグラの味をより華やかにさせる。

「ホエーに漬けた黒ムツの炭火焼、ヴァンブランソース、原木なめこ、焼き菜花」。黒ムツは脂をじっとりとまとわせ、身が舌に吸い付くように口の中で崩れていく。「うまい」。思わず呟いた。ヴァンブランソースは、旨味と酸味で料理を膨らませ、焼き菜花は香りと苦味でアクセントをつける。

「ブラックカカオとナツメグを練りこんだタリアッテレ、猪と四方竹のラグーソース」。上にチョコレートを削ってかけてあり、甘い香りの中で猪の滋味が笑う。

「土佐あかうしハラミの炭火焼」。噛むと、血の味と脂の甘い香りが混じり合い、和牛としてのたしなみを感じる。さらに「塩二郎」を振りかけると、甘い味わいが膨らんで、顔が崩れるのであった。

 最後は、「池上千佳さんが作る土佐ジローの卵」によるTKGで締め、デザート。

●レストラン ティラ 
高知県土佐市宇佐町竜599-6 リゾートホテル ヴィラ サントリーニ内
電話=088(856)0007
営業時間=11時半~13時(LO)、18時~19時(LO)
不定休 
※ランチ・ディナー共に要予約