石原 寛子

通訳

cobaco ne cobaco
上質な日常 ここに有り

JR三河安城駅から車で5分程、街の喧噪が嘘のような田園風景の中にひっそり佇む一軒家『cobaco ne cobaco』。2015年オープンの喫茶店である。自家焙煎コーヒーと手作りケーキがメインだが、お昼時にはランチもいただける。

3年前。偶然車で通り掛かった際、随分おしゃれな家が建ったけれど何だろうと思ったのが最初の出会い。しかしその見た目ゆえ、デザイナー建築の展示住宅かと思っていた。半年以上経った頃であろうか、「OPEN」の看板が目に留まり、恐る恐る入ってみた。

期待を裏切られた。良い意味で。扉を開けた瞬間深いコーヒーの香りが鼻腔をくすぐった。年季の入った背丈以上ある重厚な焙煎機がすぐ隣にあるのを見て納得。コーヒーを注ぐ女性とオーダーをとる若い女性が目に入る。言われなくても母娘だと分かった。そこに流れる空気は安心のしるし。

厨房にも娘さん? 何と表現したら良いのだろうか、そう、みんなふんわりしていてあったかい感じ。懐かしさも感じる。きっとおやつの味もそうなのだろう。

窓際のカウンターが心地よい。遠くに岡崎、幸田の山々が青々しており、元気をもらう。

手書きのメニューが手渡される。革で綴じられており丁寧さが伝わる。ノンオイルシフォンケーキがお薦めらしい。迷わず、ハワイコナとともに。

真っ白な四角のお皿に盛りつけられたお菓子には、ころんとしたバニラアイスと鮮やかなフレッシュフルーツ。美味しいものを少しずつ。一目見ただけで幸せになる。もちろん、シフォンもふわっふわ。あっさりしていて、雑味が全くない。次女の娘さんが作ったという。ケーキから伝わる真剣さと優しさ。安心していただけるお店が少しずつ減るなか、この居心地をずっと求めていた。

お目当ての自家焙煎コーヒー。南国の花を感じさせる甘く気高い香り。舌の先で感じる切れ味のよい酸味。直火式焙煎ならではの苦味が絶妙である。最高品質と称されるコナの個性が最大限に引き出されている。現在も焙煎教室で勉強を続けられているというお母さんのセンスと努力の賜物である。

私はその日を境に自宅でコーヒーを焙煎するのをやめてしまった。なぜなら、いつでもこの店に足を運ぶ理由が欲しいから。

愛知県安城市二本木町西切替111-3
TEL 0566(74)2775