富山の美味しい店

御料理 ふじ居

富山の豊穣な恵みを使用
自由闊達な感性を活かした料理

 店主藤井寛徳さんが、京都や金沢などの名店で修業後、開店した割烹。富山の海山の幸を自由闊達な感性を活かし料理する。

 例えば名物のブリは、あらゆる側面からその魅力を堪能させてくれる。①新湊の10㎏近い朝獲れを神経締めにしたブリを使った「お造り」は、クリッとした食感のカマ、コラーゲンと脂の甘みがある砂ずり、噛めばじっとりと脂が滲み出て溶けていく中トロ、大トロと並べられる。②当日揚がったものでしかできないという「血合いの刺し身」は、胡麻塩と生姜醤油でいただく。爽やかな血の香りと脂の甘い香りが同居していて、食べた瞬間笑いだすほどのうま味がある。③「中トロと砂ずりの湯引き、ポン酢添え」。やや温まって香りが丸く膨らみ、優しく歯が入っていく。④「ブリのモツ煮」。〝ふと〟と呼ばれる胃袋を中心に真子などと炊き合わせてあり、コリコリと弾む食感。⑤「カマの塩焼き」は、爆ぜるような肉と香ばしい皮に命が満ちている。⑥「ブリ大根」は、大根が淡い滋味を滴らせながら、見事にブリの滋味を抱き込んだ逸品。

 そのほか、「香箱蟹の和風ケジャン仕立て」や「ノドグロの杉板焼き」。新湊の鱧が動物的な逞しいうま味を広げ、れんこん餅が素朴な甘みで心を包む「お椀」。すうっと甘みを残しながら消えていく、きめ細かな「上市の里芋の煮物」。富山の蕪と白子を使った「かぶら蒸し」は、白子と蕪が一体となっていて、果てしなく優しい。

 春には、「蓬真丈と炙り白海老のお椀」や「四方のサクラマスのしゃぶしゃぶと花山椒」、「山菜の天ぷら」、「新玉ねぎの白海老の出汁餡かけ」、「焼き筍」など。ぜひ、富山の豊穣を味わいに出かけられたい。

●御料理 ふじ居 
富山県富山市五福5385-5
電話=076(471)5555
営業時間=11時~14時、18時~22時
定休日=月曜日・第3火曜日

ひまわり食堂

この店でなければ食べられない
地元の食材への愛に満ちた味

 田中穂積シェフによるイタリア料理店。黒板のメニューはどれも頼みたくなる魅力に満ちている。ある春の日の料理をご紹介。

「イワシのゼッポリーネ(ピッツァ生地に海藻を入れて揚げたもの)」。イワシのうま味と香りが広がる中、青海苔と香草が爽やかに吹き抜けていく。

「白海老と大麦、胡瓜のサラダ」。白海老の甘みが舌にもったりと広がっていく。そこに大麦のプチッとした食感と胡瓜の青い香りが加わった愉快な一皿。

「四方のサクラマスと八尾のアスパラ」。サクラマスのしなやかな体を口に入れると、清流の中を泳いできた魚が持つ上品な脂が、溶けるように滑らかに消えてゆく。

「ホタルイカとコシアブラのコルツェッティ(平たい円形のパスタ)」。名残のホタルイカとコシアブラが生き生きと香りを爆ぜる快感。「村田さんのブラウンスイスと池多牛ランプ肉の炭火焼き、玉ねぎ、鞘大根」。優しい滋味を忍ばせるブラウンスイスと噛むほどに滋味が滴る和牛。その合間に食べる玉ねぎの甘さに心が安らぐ。

「乳飲み仔ヤギのフォー」。黒部のヤギチーズ専門店 『Y&Co』の仔ヤギの肉は、鶏の胸肉のようないたいけな肉汁が、ゆっくりとこぼれ落ちる。それをパスタではなく、フォーに仕立てたセンスが素晴らしい。

 どの料理にも淀みがない。やりすぎない、うますぎない味わいは、富山の食材への深い理解と信頼、そして強い愛だろう。地方で外国料理を展開すると、世界中から食材を集める都心の店にどうしても負けてしまう。しかし田中シェフは、地元の恵みを使って何ができるか、何が喜んでもらえるかを誠実に考えた料理を出す。それが結果として、この店に来ないと食べられない、都会からも人を呼べる料理となっている。

富山県富山市石倉町1-30-1階
電話=076(482)6091
営業時間=18時~22時(LO)
定休日=日曜日・第3月曜日・不定休あり