話題のイタリア料理店

QUINDI(クインディ)

多彩なアラカルトが揃い
様々な利用ができる楽しい店

 2018年3月に開店。以前、同じ京都の有名で働いていた料理人とサービスの仲間が、それぞれ別の店で経験を積んだあと、再び集合してこの店を作ったという。一見してイタリア料理店とは思えぬ、カフェ風の自由な雰囲気で、デートから子連れの家族まで、幅広い層の人たちで賑わう。

 また、店に入るとマーケットがあり、レストランで使う食材や調味料、ワインなどを販売しているので、食事をして気に入ったものをおみやげとして買って帰ることができる。ここで買ったワインをレストランに持ち込むことも可能。

 夜はアラカルトが豊富に揃い、京都の野菜を中心に、日本各地の食材の生産者の名前が品書きに載る。

 なかでもお勧めは、鳥取狩猟協会のドンだという次郎さんのジビエ。その一つ「次郎鹿」は、夏鹿を七十度のスープに入れて湯通しし、鹿の骨のフォンとバルサミコを合わせたソースをかけ、レーズン、松の実、焼きナスを添えた料理である。夏の鹿らしい、しなやかで柔らかい滋味があって惚れ惚れとする肉の魅力を、濃厚ながらも繊細な味わいのソースが高めている。

 そのほか「千葉竹岡の太刀魚のフリット」もいい。三日間寝かせ、米粉で揚げた太刀魚の甘みを、緑オリーブのタプナードの酸味とボッタルガ(カラスミ)の塩気が、そっと持ち上げる。

 前菜では、千葉県産のイワシを高品質の白ワインヴィネガーでマリネし、高級すもも「貴陽(きよう)」と合わせた料理がお勧め。

 プリモピアットでは、きれいで太いうま味と軽やかな甘みが生きている、茨城のトマト

「華おとめ」を使った「スパゲッティ・ポモドーロ」が素晴らしい。そのほか、高知県産の鮎と、京都産の「あさかぜ」という香り高い胡瓜を合わせ、山形産米とカルナローリ米を使ったリゾットもいい。

 メインには、「次郎鹿もも肉のグリル」や「今帰仁アグーバラ肉の煮込み」、肉汁をたっぷり含んだ「ホロホロ鳥のグリル」など、魅力的な皿が待ち構えている。

 ほかにも、「朝どれ枝豆の塩茹で」や、旬の魚介料理を盛り込んだ「舟盛り」、全国から届いた野菜の盛り合わせ、イタリア産と国内産のシャルキュトリーを盛り合わせた「イタリア半分 日本半分」など、メニューが多彩なので様々な使い方ができて、実に楽しい店である。
 
東京都渋谷区上原2-48-12 東洋代々木上原コーポ101 
電話=03(6407)0703
営業時間=[リストランテ]11時半~14時(L..O.)、18時~22時(L..O.)[マーケット]11時~23時
定休日=水曜日

Osteria dello Scudo(オステリア デッロ スクード)

伝統を深めつつ洗練させた
未来へと繋がる郷土料理

 天現寺「インカント」から独立した小池教之シェフによる新店。「インカント」ではイタリア二十州の郷土料理の抜粋を提供してきたが、この店では一州に絞った料理を三ヶ月ごとに提供していく。ワインもその地方のものが用意される。

 七~九月は、カラブリア州の料理である。長靴型をしたイタリアのつま先部分にあたる地で、古くから多くの民族の交流があり、唐辛子を使った料理が有名である。また、野菜を工夫して使った料理も多い。

 突き出し盛り合わせは、「ネオナータ(生しらす)のベルガモット風味」「ズッキーニのソテーミント風味」「ほうれん草とチコーリアのフリッタータ(オムレツ)」。

 ズッキーニを食べた瞬間に目を見開き、体中の細胞が揺れ動いた。均一に加熱されたズッキーニから優しい甘みが出て、ミントの爽やかな香りがその甘さを優しく見守っている。さらに、生しらすの料理もフリッタータも、自然でありながら、調理の精巧さがある。その哲学と技術に感服した。

 続いての前菜は「柔らかく茹でた真鯖の冷製 ガエータオリーブのインサラータ(サラダ) ボッタルガかけ」。茹でた鯖が、しっとりとねっとりと舌に絡んで甘えてくる。その食感を際立たせるようにウイキョウはシャキシャキと弾み、オレンジは溌剌とした香りを放ち、ボッタルガの塩気が鯖の甘みを持ち上げる。

 次は「ロザマリーナ風味のタコとジャガイモ、ケッパーのインサラータ チロ マリーナ仕立て」。 カラブリア州に伝わる発酵保存食のロザマリーナ(しらすの赤唐辛子漬け)でタコとジャガイモのサラダを味付けした料理で、イタリアのおかひじき、アグレッティが添えられる。ロザマリーナの練れた塩気と酸味がタコを生かす。そして生に近い食感を残したジャガイモは、なんと四時間低温で茹でたものだという。

 続いて「豚耳、豚足、カシラ、舌のゼラティーナ エルバッチァ(香草サラダ)とクッチーア(茹でた大麦)仕立て」は、豚のコラーゲンの優しい甘みに満ちている。添えたサルサヴェルデ(緑ソース)の香りが驚くほど高い。豚と大麦、ソースを一緒に食べれば、豊かな大地が目の前に広がっていく。

「アルバニア由来のパスタ シュトゥリーデリャ 仔山羊のラグー チヴィタ風」。山羊の滋味と羊チーズの香りを極太麺が受け止める。目をつぶれば山の中にいる光景が浮かぶ、素朴ながらも力強い料理である。

「燻製豚肉とリクイリツィア(甘草)のオルツォット(丸麦のリゾット)」は、豚肉の燻製香と甘草の香りが入り混じる中、素朴な麦の味が広がっていく。どこか懐かしさを感じる、温かみのある料理である。

 主菜は、「豚肉のアッロスト ンドィヤ(唐辛子を混ぜたサラミ)と赤ワインのソース」。精妙に加熱された豚肉と、辛味と酸味が食欲を刺激するソースが抱き合う。

 ドルチェも、リクイリツィアのパイや、豚血を加えたチョコレート、ひよこ豆のピュレなど、しみじみと味が染み入るカラブリアの郷土菓子が出される。

 郷土料理の再現なら、ある程度誰にでもできるだろう。だが、その哲学を理解しながら精度を上げ、あるいは、調理の工程を確認しながらさらに良き方法を探って実践するのは、容易なことではない。温度も香りも洗練させる。超えてはいけないものと超えてもいいものを判断する。先人の知恵に敬意を払いながら、その文化を踏襲していく責任と覚悟を心に据え、新たな宇宙を作る。小池シェフの勇気と度量、技術の深さが成した、どこにもない料理である。食いしん坊なら、イタリア料理好きなら、ぜひ出かけてほしい。

 コースは、五千五百円~八千円。サービスもカジュアルで心地よい。

東京都新宿区若葉1-1-19 Shuwa House 014 1階 
電話=03(6380)1922
営業時間=12時~14時(L..O.)、18時~22時(L..O.)
定休日=日曜日・月1回不定休