木村 忠史

兵庫県三田市 木村クリニック院長

中国菜 二位
巨漢シェフの生み出す繊細かつ優しい中華

 友人が関西に来ると必ずお勧めする「中国菜 二位」。

 美味しい中華料理店目当てに神戸へ通うこと三十余年。足繁く通っていた店の雇われシェフが辞めたことで味が変わり、他を探していた私に友人が紹介してくれた。以来、我が家の中華料理店一位は「二位」。元町は南京街が近く中国人シェフの店が多い中、「二位」のご主人は日本人シェフで〝ヌーベル・シノワ〟の先駆者でもある。

 四人掛け・六人掛けのテーブルが三卓、カウンター三、四席の家庭的な店で、「二位」の店名には 《大勢で堪能するのが常識の中華料理店でありながら、少人数で来られてもしっかり満足できる店でありたい》というシェフの思いが込められている。

 バラエティーに富むメニューは約七十種。必ず頂くのは「手羽先の辣子鶏」。二分割し五~六センチほどにカットした手羽先が二種の唐辛子油で唐揚げされ、たっぷりの鷹の爪と四川の朝(チャオティエンジャオ)天(チャオティエンジャオ)椒(チャオティエンジャオ)に埋もれた状態で出される。一口食べれば滝汗必至。ただ辛いのではなく、朝天椒が巧く利いていてクセになる旨辛さ。この料理、唐辛子を炒める煙でお客さんが一斉に咳き込むけれど病み付きになる。

 前菜は「蟹ほぐし身強火炒め」。渡り蟹をほぐし、蟹の持つ塩味だけで葱と和えたものが甲羅に盛られる。上にかけたトビコのぷりぷり感、蟹爪の殻にはアクセントの生姜。これも絶品。「ふかひれお刺身風」は、てっさのように真っ白なふかひれが皿に並び、白葱とピーナッツ油のタレで頂く。

 海鮮なら「ミル貝の湯引き葱ソース」。ミル貝を覆い尽くすほどの長葱。二種のオイスターと醤油のタレで頂く。「渡り蟹入り海鮮・春雨薄ピリ辛土鍋煮」も外せない。海老、帆立、烏賊が入り、渡り蟹の出汁が染み込んだ春雨をおこげと共に頂く。

 〆は、生姜入りの葱スープが飲み干せるほどに優しい味の「葱ソバ」や、淡路島産由良ウニがてんこ盛りの「贅沢炒飯」で。

 寡黙で身長百八十センチの巨漢のシェフは一見怖そうだが、話すと優しい雰囲気に包まれる。店内にいつもお客さんの満足そうな笑顔が溢れているのも「身体に優しい料理」を作られるシェフと、すべての人を癒し、和ませる笑顔の奥様の人柄のなせるワザだろう。このお二人が織りなす心も身体も喜ぶ唯一無二の中華料理は、グルメ疲れした胃を本当に優しく癒してくれる。

兵庫県神戸市中央区北長狭通3-2-9 ジョイビル1階
TEL 078(334)7291