とんかつ

とんかつ 一頭揚げ 亀かわ 巣鴨本店

肉を食べた満足感を
十二分に味わえるとんかつ

 2017年末、巣鴨のとげぬき地蔵通りに開店。鹿児島でパイン粕を入れたオリジナル飼料を与え、飼育期間を通常より二ヶ月伸ばして旨味を熟成させる「南国スイート」という豚を使用する。店名は、養豚家である亀川孝志さんの名前から付けられている。

 料理長は、赤坂で人気だった「フリッツ」の出身。とんかつ好きで、全国のとんかつ屋を食べ歩いているという。

「ロース定食」(百二十グラム千五百五十円~)は、一枚だけ断面を上にして盛られており、そのうっすらと桃色が刺した肉色に色気がある。

 自慢の豚肉は、何より脂がいい。噛めば、緩みなくしっかりとした歯ごたえながらするりと溶けていく。甘い香りとともに深いコクがある。

 一方、肉は、噛みしめる喜びを与えるきめの細やかさで、歯が肉に抱きつかれるように入っていき、肉汁が滲み出る。この食感のせいか、豚本来の優しさはあるものの凛々しさを感じる肉で、その特性を生かすよう精妙な加熱で揚げられている。

 衣は中粗で、サクサクと香ばしい。使う揚げ油は米油で、あっさりとした仕上がりだが、「肉を存分に食べた!」という満足感を十二分に味わえるとんかつである。

 ソースは甘め。キャベツはみずみずしく、お代わり自由。ご飯はもちもちして香りも高く、とても美味しい。

「一頭揚げ 亀かわ定食」二千二百円は、特撰リブロース・ロース・本日の厳選部位二種(この日はヒレとトントロ)・亀かわメンチの五種類の盛り合わせで、全体で約百八十グラムになっている。

なかでも、肉と脂の魅力を同時に堪能できる、特撰リブロースがいい。この豚肉の醍醐味が味わえる部位だろう。また、深めに揚げてコリッとした脂や肉の食感を生かしたトントロも素晴らしい。

もう少し軽めがいい場合は「三種盛 亀かわ定食」(特撰リブロース・ロース・亀かわメンチ)千六百円がおすすめ。
 
東京都豊島区巣鴨4-19-8
電話=03(6903)7029
営業時間=[平日]11時~14時半(LO)、17時~20時半(LO)[土日祝]11時~20時半(LO)
年中無休(年末年始休みあり) 
※表記価格は税込

かつ好 日本橋人形町

恵比寿で人気を呼んだ「かつ好」
日本橋人形町に復活

 一九九四年に恵比寿ガーデンプレイス開業とともに静岡から進出した「かつ好」。モダンな店内、若く元気のいい店員、とんかつの下に敷かれた網など、従来のとんかつ屋とは違う点が多く、女性客にも人気で、エポックメイキングな店だった。

 やがて名前を変えて別の店となったが、一昨年に日本橋人形町に復活。裏路地に、看板もなく古民家を改装した隠れ家のような店を構えている。

「ロースかつ」(百十グラム千四百五十円~)を注文。見ていると、実に丁寧な仕事ぶりである。

 外に出ているのは小麦粉を入れたバットだけで、注文が入ると、冷蔵庫から卵液とパン粉を出す。そして肉の塊を取り出し、切って重量を量り、叩き、筋切りをし、周囲を切り落として成形し、衣をつける。

 それを中温で揚げ、丹念に油切りをし、休ませる。しかる後、鉈のようなカツ切り包丁で切り、皿に盛られて登場する。

 肉は、噛んだ瞬間に香る甘い香りが、良質の豚肉であることを語っている。脂の溶け具合も素晴らしく、衣は粗目で、サクサクとした軽快な食感。とんかつという料理の魅力に満ちている。

 何もつけずとも十二分にうまいが、この店ならではの調味料も試したい。溶き芥子は、粉芥子を溶いたものではなく、本物の地芥子を練り上げており、爽やかな刺激がとんかつを盛り上げる。わさび醤油は、質の高い本わさびならではの香りと刺激が、豚肉の甘みを引き立てる。梅の香りが漂う梅塩も面白い。

 付け合わせのキャベツは極細に切って紫蘇を混ぜてあり、みずみずしい。

 そのほか、独特の「ヒレかつ」(百十グラム千七百円~)も香りがあって上等。また、薄く叩いた肉を二枚揚げた「かろみかつ」二千二百円も、肉は薄いながらも十二分に香りと味が伝わって、素晴らしい。

「ご飯・おつけもの」は二百五十円。ご飯は粒が立って輝いている。おつけものは胡瓜、大根、人参の浅漬け。アサリの味噌汁「汁わん」二百五十円も香り高い。

東京都中央区日本橋人形町3-4-11 
電話=03(6231)0641
営業時間=11時半~14時(LO)、17時半~20時半(LO)
定休日=日曜日 
※表記価格は税抜

とん八亭

お昼時のお値打ちな定食
常連になりたい魅力溢れる店

 創業は一九四七年と古く、今は三代目が店を守る。昼時に美味しいとんかつ定食をお値打ちな価格で提供し続け、長らく人々に愛されてきた、とんかつ発祥の地・上野らしいとんかつ屋である。誠実なご夫婦二人で営まれる清潔な店内は、常連で賑わい、客の愛着がしみた、新しい店には醸し出せない空気が漂っている。

 堂々たる厚さで肉の旨味を誇る「ロースかつ定食」千八百円も素晴らしいが、「かつライス」九百円がいい。この庶民的な値段の中には、安くとも美味しいものを食べてもらおうという心意気が詰まっている。

「ロースかつ定食」の重さを変えただけだという「かつライス」の肉は、十分に肉汁を含んでしっとりとし、脂の溶け具合の軽さもいい。低温でじっくりと揚げるかつの衣は色が薄く、油切れがいい。肉と衣の一体感があって「とんかつを食べているぞ!」という熱気を高めてくれる。

 ソースは甘めである。キャベツは極細切りで上等。ご飯も甘くて炊き具合よく、大根、白菜、人参、胡瓜による新香も質が高い。鰹節と豚肉で出汁を取り、豆腐と三つ葉が入れられた味噌汁も美味しい。

 肉に香りがあって魅了する「ヒレかつ定食」二千百円もおすすめ。

「常連になりたい」と思わせる、魅力溢れる店である。

東京都台東区上野4-3-4 
電話=03(3831)4209
営業時間=11時半~14時半(売り切れ次第終了)
定休日=月曜日(祝日の場合は翌日・臨時休業あり)
※表記価格は税込